CX-5「爆売れ」のマツダが米国で大苦戦の事情 SUBARU手本に改革着手も「脱値引き」道半ば

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1月11日、トヨタとマツダは2021年に稼働する合弁工場の建設地をアラバマ州に決めたことを発表した。マツダにとって米国での現地生産は2012年に撤退以来、9年ぶりになる(写真:トヨタ自動車)

マツダが米国で販売の足元固めをしなければならない理由がもう一つある。アラバマ州ハンツビル市で2021年に稼働する、トヨタとの合弁工場だ。

現在、米国向けのCX系3車種(CX-3、CX-5、CX-9)はいずれも日本で生産している。昨年8月と10月に設備を改造し、CX系の生産体制を強化したばかりだ。だが、世界的なSUVブームもあり、CX系は近い将来、需給が逼迫することが想定される。そこでマツダは15万台の生産拠点を米国に新設し、次世代のCX系車種を生産する計画だ。藤本常務は「新工場も控えているので、米国での販売体制を整えなければいけない」と強調した。

NAFTA再交渉にも翻弄される

新工場の調達網については計画がまだ見えてこない。NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉がどのように着地するか次第で、どこで生産した部品を使うかも変わってくる。NAFTAでは自動車部品の関税をゼロとする条件は域内調達率が62.5%。米国はこれを85%に引き上げ、米国製部品の比率を50%以上にすることを提案している。仮に米国の提案どおりになれば、マツダのメキシコ工場周辺に進出しているマツダ系サプライヤーが、米国の新工場向けに部品を供給できなくなる可能性もある。

業界には、トヨタ、ホンダ、ヒュンダイが工場を持つアラバマ州にはすでに多くのサプライヤーが進出しており、マツダはそこからの調達を行うのでは、という見方が強い。実際、同州に工場を持つヨロズ(足回り部品)や小糸製作所(照明部品)は、マツダの現地生産開始を商機とみている。

「頑張っていると思うんですけど・・・・・・。来期は反転攻勢したい」――藤本常務はため息交じりに漏らす。来期からはSKYACTIV技術や魂動デザインを深化させた次世代製品の量産準備が本格化する。2021年稼働の新工場向けの投資も今後増えていく。米国の収益性が改善できなければ、マツダは次のスタートに安心して立つことができない。

森川 郁子 東洋経済 記者

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もりかわ いくこ / Ikuko Morikawa

自動車・部品メーカー担当。慶応義塾大学法学部在学中、メキシコ国立自治大学に留学。2017年、東洋経済新報社入社。趣味はドライブと都内の芝生探し、休日は鈍行列車の旅に出ている。

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