CX-5「爆売れ」のマツダが米国で大苦戦の事情 SUBARU手本に改革着手も「脱値引き」道半ば
では販売台数を犠牲にしている分、収益は向上しているのかというと、そうではない。競争激化で他社が売れないセダン系への販売奨励金を積み上げるため、それに対応してマツダも金額を増やさざるをえないからだ。
米国市場では安定した労働市場、原油安や低金利を背景に、セダン系の乗用車からピックアップトラックやSUVといった大型車に乗り換える人が急増。2017年の新車販売は、2016年に比べて、大型車が45万台(4.1%)増えた一方、セダン系は77万台(10.9%)も減少した。
セダンの競争激化にのみ込まれる
かつてはマツダで一番の売れ筋だったセダン「マツダ3(日本名:アクセラ)」も状況が一変。2017年の販売台数は約7万5000台。2016年に比べ約2万台、2割以上も販売を減らした。米調査会社オートデータによると、2017年12月時点でマツダ3の在庫日数は100日に達し、1台当たり約2500ドルのインセンティブ(販売奨励金)を積んでいる。業界平均の約4000ドルから見れば低い水準だが、1年前の2016年12月からは4割以上も増加。販売台数減にインセンティブ増という2重苦にマツダ3はあえぐ。
さらに深刻なのはCX-5だ。「これ以上、セダンにインセンティブを積んでも意味がない」(藤本常務)という判断で、セダン向けは減額傾向にある一方、足元では最も売れ筋のCX-5向けインセンティブが、この1年で24.8%も増えているのだ(2017年12月、1台当たり2806ドル)。業界平均のインセンティブの伸び幅5.7%を大幅に上回る。CX-5は2017年に米国で前年比13.7%増の12万7000台余りが売れ、米国販売の44%を占める。販売店改革の途上であるとはいえ、基幹車種に多額のインセンティブを充てていては、せっかくの収益性を損ねかねない。
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