「別れの手紙」を書かせるとわかる医師の資質 医学部受験「突破」への必勝法はこれだ

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以下には、医師に必要な能力・資質として、①から⑪までをまとめてみた。いずれも重要な要素ばかりである。

【医師に必要な能力・資質11】

① 患者の要望に耳を傾けて正しく応える力(聞く能力と倫理的判断)

② 公共性・公共心(公を意識して思う心、社会の利益を追求する心)

③ プラス思考(患者の負の状況に前向きに向き合う心)

④ アナロジーを理解する心(患者の置かれている状況を理解して自らに置き換えて考える心)

⑤ 研鑽能力(医師としての技量を磨き深める能力)

⑥ 利益衡量能力(複数の価値が対立している場合にそれぞれの利益を調整しよりよい結論を導く能力)

⑦ 正当な注意力・判断力(科学的判断に基づく正しい行為から逸脱しない能力)

⑧ 正当な開拓精神(不確実性に立ち向かう能力)

⑨ 情報収集能力(新しい知見や情報を収集する能力)

⑩ 空間把握能力(腹腔鏡手術などで要求される能力)

⑪ 推理能力(患者が訴える症状から病巣を推理する能力)

”心の瞳”で相手を見つめること

別れの手紙を題材として、医師に必要な能力・資質について考えてきた。実は顧客を相手にする仕事であれば、どのような仕事でも多かれ少なかれ、ここに例示した能力・資質は必要で、根っこのところではつながりがあるのだ。

相手が不満を抱いている場合、もし自分が相手の立場だったら、どのように接してもらえば、自らの心が鎮まるのか。この場合、相手の状況を理解するように努め、それを自らに置き換えて理解する心があれば、難しい局面も穏やかに解決される方向に向かうかもしれない。”心の瞳”で相手を見つめてあげること。そうすれば、道筋は見えてくる。

小林 公夫 一橋大学博士、作家

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こばやし きみお / Kimio Kobayashi

専門は医学と法、生命倫理学。現在は生殖医療や実験的治療行為など先端医療の研究に従事している。研究の傍ら、医学部受験生の指導にあたり、医学部受験予備校インテグラ、医学部&東大専門塾クエストで、医学概論、医学部生物学、医学部小論文・面接などを指導。著書多数。代表作にシリーズ累計21万部突破の『「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法』『新「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法』「オトバンクFeBe版勉強しろと言わずに子供を勉強させる法」(PHP研究所)、『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)などがある。『医学部の面接 [3訂版](赤本メディカルシリーズ)』、『医学部の実践小論文 [改訂版](赤本メディカルシリーズ)』(教学社)は医学部受験生のバイブル。医学部入試に関する情報はオフィシャルサイトにも掲載している。

 

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