特別仕様車まで造るトヨタディーラーの凄み

名物経営者がディーラー業界の未来を占う

――トヨタ自動車が新たにトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の4チャネル(系列)ごとの全国一律から地域別へ、社内の営業体制を1月に変更しました。どのように受け止めていますか?
 大歓迎だ。チャネル制を残しつつ地域軸を入れたということだ。豊田章男社長は昨年初めから「脱全国」とすでに言っていた。今までは全国一律に網を掛けていたが、そうはいっても地域別にニーズが違う。それにどう対応するか。それを具現化するための体制変更が行われたということだ。地域軸でやっていくのは時流というか必須だろう。  
 

KTグループの上野健彦会長兼社長は、トヨタ自動車の豊田章男社長と同じ高校・大学を卒業している(撮影:今井康一)

――今までとは何が違うのですか?
 今まではチャネル別に考えていた。たとえば、月に100台売るディーラーと1万台売るディーラーでは、導入するコンピュータシステムを本来変えるべきだが、平均点方式で同じものを入れていた。そのため、規模の小さな会社からすると過剰投資という話がいっぱいあった。これが地域軸になれば、いろんなことが一定の規模の条件の中で語られる。

車種もそうだ。同じチャネルでも北海道と鹿児島では欲しい車が違う。北海道だと4輪駆動が必須だが、鹿児島だと不要かもしれない。同じ販売施策を語るのには無理があった。違うチャネルが一緒になって取り組むのが難しい都道府県もあった。今後は同じ地域のオールトヨタとして、一緒にいろんなことが本当にやりやすくなる。

4チャネル制は当面維持すべき

 ――ただ歴史的に見てもトヨタ店とトヨペット店がライバル関係にあるなど、系列同士の競争が激しく、地域軸で一緒にやっていくのは難しいのではないでしょうか?
 トヨタは逆にそういうことを使って、仮想敵化することでそれぞれが成長してきた面がある。もちろんそういう部分は残しつつも、協調してやったほうがいいことが増えてきたという認識だ。

  ――そもそも4チャネル体制は維持したほうがいいのでしょうか?
 当面はそう思う。いきなりチャネル制を廃止して地域軸にいきますよとなると、トヨタは損をする。長年やってきたのでチャネルごとにやっぱりお客様も違う。営業担当者のしゃべり方やいでたちすら違う。フルレンジでカバーしようとやってきた歴史があり、お客様もそれに慣れているのが現状だ。当面はマーケットのそういう特性を利用した方がいい。

 ――チャネルを一本化して、どの店でも全車種が買えるようにするほうが便利という声もあります。
 1カ所では買い分けも売り分けもできない。トヨタは約60車種あり、これを4チャネルに分けて売っているが、それがたとえば半減して30車種になったとしても、1つの店では売れない。お客様が困る。何を買っていいかわからないからだ。チャネル制はある意味不便なように見えて、割と親切なシステムだ。現在はネット検索すればいろいろ調べられる。情報の絞り込みをしながら、自分に合っているチャネル色を見つけられるほうがいいと思う。

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