優秀でも「なぜかできない人」の目標の立て方 高いレベルを目指せば「必ずできる」に近づく

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ルーティンでずるずる後退などということにならないように、極端なまでに高いレベル、理不尽な、物議を醸すレベルの目標を考えるのである。英語でいう「アンリーズナブル」と「コントラバーシャル」だ。提案したら、無茶だという反応が出てきたり、異論が噴出したりするようなレベルの高い目標を考えてみよう。

こうした目標を設定すると、目線が上がり、視野が広がり、新しいものが目に入ってくる。それを柔軟に受け入れて活用することで、新しい発想やクリエーティブなアイデアが生まれてくる。

その目標は「意味のある水準」か?

ただし、いくら高いレベルでも、「目標が意味のある水準になっていない」と、必ずできるという結果にはなりにくい。

たとえば「わが社を日本一の会社にする」というのは高い目標だが、このままでは抽象的で、いくら考えてもなかなか具体的な思考につながらない。「全社員が誇れる会社にする」という目標もやはり抽象的だ。

そこでひとひねりして、「就活生の人気企業ランキング1位になる」という目標に変換したらどうだろう? 具体的だし、レベルや数字もはっきりしているが、途端に話が矮小化する。「就活生に人気の会社=全社員が誇れる会社」と言われると、首を傾げる人が大半なのではないか? 

高い目標を設定する際には、「意味のある水準」を考えることである。

数値目標を決める際に、「市場において/顧客にとって/競争において、意味がある水準」を設定する思考習慣を持とう。

たとえばあなたが食品メーカーで商品開発に携わっていて、これから発売する新商品の目標を立てるとする。

「3年で業界ナンバーワン売上のブランドを構築する。まずは発売2年以内にシェア10%を達成する」

なるほど数値化されていて具体的だ。これが自社の現状からかけ離れていれば、理不尽なまでに高い目標だし、「無理に決まっている!」と社内で物議を醸すだろう。

ただし、ストレッチ思考にはこれらの数字が意味のあるものでなければならない。

たとえば、上記の例で、業界ナンバーワンのA社の定番商品は根強い固定客を持ち、長年15%近いシェアを保っている。現在2位以下はシェア1ケタ台の大混戦が続いている。

こうした競争状況で不動のトップであるA社の定番商品を超えることは、自社にとってだけでなく、市場・顧客・競合にとっても大きなインパクトを与える。また、発売翌年も売上を伸ばして2ケタシェアを達成することも、「トップ商品に迫る図抜けた2番手を生み出す」という重要な意味を持つ。

このような大胆なゴールを3年以内に目指すことは「意味がある」水準になる。

消費者の好み、食のトレンドが目まぐるしく変化する中、5年先を見据えてみてもスピード感に乏しい。とはいえ1年では短すぎる。だからこその3年だ。

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