優秀でも「なぜかできない人」の目標の立て方 高いレベルを目指せば「必ずできる」に近づく

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ここでは、目的や目標をできるだけ高く設定することから始めるストレッチ思考を紹介する。

極端なまでにレベルの高い、「意味のある水準」の目標を設定し、チームでそのゴールを共有できれば、実際に目標達成や問題解決の可能性は高まるのである。

「理不尽なほど高いレベル」の目標を掲げる

「無難な、レベルの低い目標」を設定してしまいがちな1つの理由は、高い目標を設定すると逆風が吹くからだろう。

「そんなこと無理だよ」という否定的な意見や、「今までのやり方が間違っているのか」という反発、そして「そんな目標を立てて、達成できなかったら誰が責任をとるのか」という防衛本能から生じる反論が、社内やチーム内から出てくることも予想できる。自分自身も「できなかったら困る、信頼を失うし、評価も下がってしまう」という自己規制に走りたくなるかもしれない。

予定調和や前例主義が身に付いてしまっている人や組織は、「自社の現状」や「今の自社にとっての可能性」を考慮して、無難な目標を考えがちなのではないか。ありきたりの「前年比」や「現状対比」の目標設定はこの典型だ。

しかし、たとえば「前年比3%増」などという、ちょっと頑張れば手が届く目標なら、人は今までのやり方を変えないだろう。

「今年はこの程度が限界ですが、頑張って3年以内に10%増を目指します」

こんな目標は、ストレッチゴールではない。むしろ「ルーティン思考」へ落ち込む始まりだ。今までと大して変わらない、これまでのやり方の改善に収まってしまう。

変化が激しく競争も厳しい環境の中で、予定調和のルーティンを続けていたら、仕事の業績も質も、現状維持どころかずるずると後退していくことになりかねない。

「市場が伸びていない環境で3%増は大変なことだ」と考えて頑張ったとしても、毎年2ケタの成長を実現する競合が出現したら、競争に勝てないどころか、どんどん置いていかれてしまう。

別の言い方をすると、自社の現状に照らして手を伸ばせば届きそうな目標を立てていると、目線が低くなると同時に視野が狭くなり、井の中の蛙、ガラパゴスになってしまうということだ。

これが「前年比30%増」だったら話は変わる。ほとんど不可能という高い目標だから、改善や努力ではどうにもならない。発想をまったく変えたり、ゼロベースで考え直したりすることが必然となる。

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