FOXは、なぜ映画・テレビ事業を売却したのか 新生FOXのキラーコンテンツは「生中継」に

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12月14日、「メディア王」ルパート・マードック氏(写真)率いるメディア大手21世紀フォックスは、映画・テレビなどの事業を524億ドルで米娯楽大手ウォルト・ディズニーに売却する。ロンドンの自宅前で2016年3月撮影(2017年 ロイター/Stefan Wermuth)

[ニューヨーク 14日 ロイター] - 「メディア王」ルパート・マードック氏率いるメディア大手21世紀フォックス<FOXA.O>は、映画・テレビなどの事業を524億ドルで米娯楽大手ウォルト・ディズニー<DIS.N>に売却する。事業売却後の「新生フォックス」は大幅にスリム化するが、マードック氏はスポーツやニュースなど生放送番組の人気の高さに賭けている。

スポーツ中継やニュース番組などの生放送は、視聴者の人気が依然として高い。また、放映後の作品をオンデマンドで楽しむ視聴者は増えているが、視聴時にコマーシャルをすべて飛ばしてしまうため、生放送番組には広告主からも引き合いがある。マードック氏が事業売却を決めた背景にはこうした事情がある。

「断じて退却ではない」

マードック氏は14日、投資家への説明会で、「断じて退却ではない。極めて重要なタイミングで方向を転換するのだ」と述べた。

フォックスの経営幹部によると、映画、テレビ番組制作、海外事業などの売却で、フォックスの規模は現在の3分の1程度に縮小し、年間売上高は100億ドルほどとなる。売上高から見た1株の評価額が変わらなければ、新生フォックスの時価総額は少なくとも200億ドルだ。

規模が小さくなるが、ニュースやスポーツなどの分野への集中度は高まる。FOXニュース・チャンネルはニュース専門放送で国内ナンバー1で、米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)や大リーグなどの試合の放映権も持っている。

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