「日本の宿泊業界は、今後爆発的に成長する」 「一棟貸し民泊」は日本で普及するか

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ノルト:日本人の利用も見込んでおり、日本人に響くような戦略を目下展開しようと考えている。このほかにも、アジア向け、欧米向けとそれぞれ展開方法を考えている。

――現在、日本ではどれくらいの家がレンタル対象になっているのですか。

ノルト:約1万件だが、今後2年間で急速に増えるだろう。2020年までには、10万件に増やしたいと考えている。日本は、2020年までに観光客を現在の2倍である4000万人に増やしたいとしているが、宿不足は深刻な問題だ。ホームアウェイの場合、単なる泊まる場所にとどまらず、ユニークな体験ができるという強みがある。

「プリンセスマニア」のスゴい家

――そもそも、日本ではバケーションレンタルというコンセプトになじみが薄いですが、今後どうやってホームアウェイの認知を広げていきますか。

ノルト:いくつか方法はあると思う。たとえば、直接ホームアウェイのホームページを訪れて、借りたい家を探すこともできるし、私たちはエクスペディアグループでもあるので、エクスペディアを通じて、宿泊先を探すこともできる。このほかにも、今後新たなマーケティング策を通じて、日本人にとっての新しい旅の形について認知を広げていきたいと思う。

――日本では、せとうちDMOのほかに、楽天とも民泊物件の提供で手を組んでいます。仕入れを増やすには今後も提携が欠かせないと思いますが、提携先の条件は。

ノルト:つねに提携先を探しているが、数が多ければいいというわけではなく、(提携先の)数は少なくても深い付き合いをしたいと考えている。今後、地方を中心に事業を拡大するうえで、提携先を増やすことは欠かせないが、組む前にしっかりと相手のニーズを把握して、それを私たちが満たせるかどうか、互いのブランドがマッチするかどうかを重視したい。

――日本にかぎらず、ノルトさんとデビッドソンさんが、個人的に気に入っている物件はありますか。

ノルト:最近、「子どもととまりたい世界の物件ベスト10」というキャンペーンをやったのだが、その中に文字どおりのウォーターパークがあった。たとえば、子どもを連れて同窓会をやったりパーティをやるのにピッタリな物件だ。宿泊料も1泊約2000ドルと、たとえば1部屋2人で40人泊まれるとしたら破格だ。古い消防署をリノベした物件もあった。実際に使われていたポールなどが残っていて、子どもたちは消防署員のようにポールを使って2階から1階に移動できる。

デビッドソン:台湾に大のプリンセスマニアが貸しているものすごく面白い物件がある。衣装部屋にはドレスが山のようにあって、宿泊客は好きなドレスを着ることができる。しかも、オーナーがお茶会を開いてくれるので、女子の集まりにはもってこいかもしれない。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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