「日本の宿泊業界は、今後爆発的に成長する」 「一棟貸し民泊」は日本で普及するか

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――日本では、瀬戸内沿岸7県と事業者が設立した観光促進を行う法人「せとうちDMO」と組んでいます。

デビッドソン:せとうちを通じて、海外からの観光客を、これまで行ったことのないような場所に導き、滞在させたいと考えている。せとうちには、たくさんの伝統的な日本家屋があり、観光客は日本の地方でしかできないような、本当の日本の生活を体験できる。東京のような大きな街を飛び出して、地方でしか会えないような人に会ったり、食べられないものを食べられるようになるのは観光客にとってはうれしいことだ。

長期滞在者は肩肘をはらずに滞在したい

――日本に対する関心がそこまで高いとは・・・。

ノルト:口コミの威力が大きい。たとえば、今回私が知人たちに日本に行くという話をしたところ、4人から「去年日本に行って、とんでもなくすばらしい体験をした」「人生でベストな時間だった」とか、「来年行くから詳しく教えてほしい」など熱い反応があった。10年前だったら誰も食いつかなかっただろう。

デビッドソン:日本にいたら気が付かないだろう。日本には、ビックリするような大都市があるだけでなく、文化も多様で、地方に行けば美しい地形や風景に出会える。山があって、海や海岸があって、食事も最高だし……。たとえば、シンガポール人には美食家が多いが、日本に行くと伝えると、みんなが「あそこでこれを食べたほうがいい」と教えてくれる。

――外国人が日本に来る場合、最近ではどういったところに泊まってみたいと思っているのでしょうか。

ノルト:米国人の例で言うと、彼らは日本に来る場合、8~10日間くらいの日程を組んでくる。となると、1カ所にとどまることはないが、多くの人は「伝統的な日本の体験」を望んでいる。その中で、食べ物だったり、観光だったり、重視するポイントに分かれて旅を計画するという感じだ。いずれにしても、米国人の場合は、バケーションレンタルになじみがあるので、それぞれの場所で自分の求める旅行スタイルにあった宿に泊まりたいと考えている。

ニュージーランド出身で、現在はシンガポールに拠点を置き、アジア市場を見ているデビッドソン氏(撮影:尾形文繁)

デビッドソン:家族やグループで旅行する場合は、ベッドルームがたくさんあったり、キッチンがついている宿に泊りたいというニーズが高い。特に子どもは食べ物が難しいので、キッチンがあるにこしたことはない。

また、家族にとっては、肩肘をはらずにゆっくりできるという意味でも、民泊需要は高い。10日間、しかもバケーションで滞在するとなると、どうしても「リラックスしたい」という気持ちが強くなる。となると、リビングルームやキッチン、複数のベッドルーム、と家と同じような宿が望ましくなる。また、大勢の場合、ホテルより安価だという点も大きい。

――となると、ホームアウェイを主に使うのは、訪日外国人ということになりますか。

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