「失敗する起業家」に共通して欠けている視点 間違った意思決定が悲劇を招く

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田所雅之(たどころ まさゆき)/1978年生まれ。大学を卒業後、外資系コンサルを経て、日米でスタートアップを起業。帰国後、米ベンチャーキャピタルで新規投資を担当。現在、事業創造会社やウェブマーケティング会社のCSOを務める。起業・投資についてのスライド集を公開(撮影:梅谷秀司)

事業のベースになるアイデアがそもそもよくなかったら、始める意義がないから、まずアイデアに気づくことが必要だ。そのアイデアは考え抜いた気合いを入れたものではなく、「サイドプロジェクト(気軽な副業)」のような普段の課題の中から発見する。初めから「プランA(最善の仮説)」などと気負うことはない。

よいアイデアはいわゆる一般常識や直感とは異なる。一言で表せるものがいい。しかもスタートアップにおける取り組み方と一般企業のそれとは違ってくる。すでにビジネスモデルが存在しているスモールビジネス型は採らない。起点が違うからだ。

スタートアップとベンチャーも違う。ベンチャーはそこらにあるラーメン店でもベンチャーといえる。フランチャイジーだとしてもベンチャーでもある。フランチャイズモデルはある程度検証された型ができている。スタートアップはそもそも共感する課題が存在するのか、お客(カスタマー)はいるのかから始まる。

ユーザーにどう感じ取ってもらえるか

――勘違いしがちなのですね。

ユーザーエクスペリエンス(体感経験=UX)、つまりユーザーから、そのアイデア、作り出されるプロダクトに期待されるものがある。スタートアップにはUXがあるものだ。ユーザーにどう感じ取ってもらえるかという仮説がきちんと立てられていないと、スタートアップはできない。

その際、スタートアップには最初に優秀な営業マンはいらないし、資金調達に動く人たちも必要ない。特に、一緒にやる人が、スタートアップとスモールビジネスとでは違ってくる。スタートアップは基本的にまだ売り物がないが、実験する人は必要だ。

――創業メンバーは大事。

どういう人と共にやるか。スタートアップは人生をかけたプロジェクトだから、強い共感性を互いに持っていることが大きく成功するための必須条件だ。人の要素はアート的でもあるので、「因数分解」できるものではないが、ある程度のパターンはある。

チームには補完関係があって、皆がエンジニアでは駄目だし、お客と話せる人も必要。基本的には創業時の企業価値の半分はチームで決まるといっていいほどだ。メンバーはそれぞれのストーリーとスキルを持つ。初期はリスクがいちばん高く、いわば知識量はいちばん低い。目の付け所がよくても、変なメンバーが入ったことで駄目になるパターンも少なくない。

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