富士通とレノボ、パソコン合弁合意の舞台裏 13カ月もかけたのは好条件を引き出すため

拡大
縮小
11月2日に開かれた富士通とレノボ・グループの記者会見。いちばん右が富士通の田中達也社長、その隣がレノボのヤン・ヤンチンCEO(撮影:風間仁一郎)

「富士通のパソコンはレノボに身売りされるのか」と思っていた同業他社にとって、今回の合弁スキームは意外だったようだ。

11月2日、富士通と中国レノボ・グループがパソコン合弁でようやく合意した。各国の独占禁止法や競争法の審査を経て、来年春をメドに実現する。

富士通のパソコン子会社・富士通クライアントコンピューティング(FCCL)にレノボが約200億円を出資。出資比率は、レノボが51%、富士通が44%、日本政策投資銀行が5%になる。社名も社長もブランド名も変えない。

製造コストは劇的に下がる

富士通にとってパソコン事業は低採算。営業利益率10%を目指す富士通は低採算事業の非連結化を進めている。他社からの出資を受け入れてパソコン事業を非連結化するために、富士通はパソコン事業を2016年2月に分社化しFCCLを設立していた。同年10月にはレノボとの提携交渉を開始。そこから今回の合意まで13カ月の時間を要した。

レノボはパソコン用の部品をFCCLに供給するのみで、開発・製造はFCCLが今後も行う。世界最大のパソコンメーカーが調達する部品を供給してもらうことで「FCCLの製造コストは劇的に下がる」(富士通幹部)。

この部品調達の条件を細かく詰めるのに、合弁交渉の大半の時間が割かれた。「部品の仕様について極めてマニアックな議論が続いた。双方とも粘り強く交渉したために13カ月もかかった」(同)。

次ページレノボが51%を出資する意味とは?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT