NECが大幅下方修正、富士通と分かれた明暗

構造改革に苦しんだ両社の差が開き始めた

富士通(田中達也社長)とNEC(新野隆社長)、IT大手の格差が広がり始めた(撮影:今井康一、尾形文繁)

「稼ぐ力が弱くなっているのではないか」。アナリスト向け説明会では、収益力の減退を懸念する声すら聞かれたほどだった。

1月30日。IT大手のNECは2016年4~12月期の決算を発表し、2017年3月期の業績見通しを大幅に下方修正した。期初に2.8兆円と見込んでいた売上高を2.6兆円に、同じく1000億円と見込んでいた営業利益はわずか300億円まで引き下げた。営業利益率で見ると、期初に3%台と見込んでいたのが、今回の下方修正で1%台に落ち込む。

新規事業の伸びを前提とした計画だったが…

修正理由は深刻である。差し引き700億円の下方修正のうち、不採算案件の発生、構造改革費用の増加、偶発損失引当金の繰り入れなど計200億円弱は「一過性のもの」(川島勇CFO)だった。だが、残りの500億円強は売り上げの未達によるものだからだ。

NECは通信インフラ設備で国内首位だが、既存事業の国内向けは長期的に縮小傾向が続く。そこで、海外を中心とした新規事業の伸びで補うというのが今期のシナリオだった。だが、宇宙事業は衛星打ち上げの延期、光海底ケーブルでは工期延長に見舞われた。「宇宙事業は技術が高度で技術リスクの見極めが甘かった。設計変更で原価がアップした」(川島CFO)。

「収益力低下の背景には社員のモチベーション低下があるのではないか」。1月30日の記者会見ではこんな質問も出た。新野隆社長は「社員に毎年アンケートを取っているが、ここ数年はモチベーションが上がってきている」と反論している。

「既存事業の落ち込みを新規事業の伸びで補う」というのは今期から始まった新中期計画のシナリオそのもの。そして新野社長は、副社長時代に中計をまとめた中心人物である。そのリーダーシップを買われて社長に就任したのだから、中計シナリオが1期目で崩れた意味は小さくない。

また、今期の営業利益見通しを300億円にまで引き下げたことで、2019年3月期に営業利益1500億円を目指す中計は今期の5倍の利益水準となった。中計達成は極めて高いハードルになったと言わざるをえない。

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