「教えるプロ」学校の教師だって悩んでいる 「3つの手順」で具体的に進めよう

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先生はいかにわかりやすく教えるかということに力を注ぎますが、実際に点数に結び付くのは、先生の教え方に多少左右されるものの、テストで点数が取れる要因は生徒が自分で勉強したからなのです。自分では勉強をいっさいせずに、授業を聞いただけでテストの点数に結び付くような生徒もごくたまにいますが、日頃の家での勉強や、テスト前の勉強ができているから、数学の点数が取れるのであって、授業のみで点数につながることは極めてまれなのです。

この話を聞くと、「学校の授業は無意味なのか!」と思われるかもしれませんが、そうではありません。学校の授業はその科目が好きになるか嫌いになるかを決定する重要な場になりますし、自分で勉強できる子にすることも、教育の大事な要素ではないかと思うのです。

先生は何をしたらいい?

それでは具体的に、先生は何をしたらいいでしょうか。筆者は3つの手順があると考えます。「マインドを整える → スキルを伝授 → フォローアップ」の順です。

1. 授業で数学をまじめに教えない → マインドを整える

「数学の授業をまじめに教えない? 何言っているんだ!」と思うことでしょう。この場合のまじめとは、つまらないという意味のまじめです。

淡々と黒板に向かい問題の解説をする、これを楽しいと思う生徒はごくまれでしょう。ただ、問題演習ばかりやっている授業、教科書をそのままなぞっている授業、それも授業の1つですが、生徒の目線に立ったときに、はたして、それは興味、関心、好奇心を引く授業なのだろうか?ということです。

もちろん「すでに十分に工夫している!」とおっしゃる先生もたくさんいらっしゃるでしょうが、もしそこまでではないと感じられる場合、改めて考えてみていただきたいのです。

先生の役割は、授業で生徒の好奇心を引き出すきっかけをつくったり、数学をやりたくなるような環境をつくったりして、心に火を灯すことにもあるわけです。教育という言葉は、教えるではなく、引き出すということが本来の語源であることも、これを語っています。

好奇心は面白いから出るのです。興味関心は、つまらない状況からは出てきません。学校の授業で、生徒のその科目に対する「好き・嫌い」が決まるということを覚えておくといいでしょう。

ですから、数学の授業はまじめにやらない、というぐらいでちょうどいい授業ができるようになります。そのための工夫のヒントは次の3つです。

「子どもは『やるな』と言ってもゲームにハマる。なぜゲームにハマるのか?」
「子どもは、勉強は嫌がるが、クイズには積極的に関与する。なぜクイズには前向きか?」
「子どもは、ただの作業には燃えないが、競争になると燃える。競争は他者との競争よりも前の自分との競争に燃える」
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