希望の党、帰結が「大民進復活」では酷すぎる 2人の「敗軍の将」の進退に際立つ後味の悪さ

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ただ、「排除発言」だけでなく、衆院選出馬をめぐる小池氏の「あいまいな対応」が有権者の期待を失望に変えたことも否定できない。小池氏は「初めから出ないと言っていたのに、メディアが勝手に『出る、出る』と煽った」と反発するが、言葉とは裏腹な小池氏の態度が、メディアだけでなく公認候補たちの疑心暗鬼を生んだことは間違いない。だからこそメディアも10日の公示当日まで「小池氏出馬説」を流し続けた。「選挙ではテレビが最大の武器」が持論とされる小池氏が「出る出ないのテレビジャック」を選挙の追い風と判断していたとみる向きも少なくない。

22日の投開票日をパリで迎えた小池氏が語った「都知事選、都議選は完勝したが、今回は完敗」という言葉には、政界入りした日本新党時代から続く"小池流テレビ選挙戦術"の成功体験が色濃く出ている。しかし、「排除発言」以来、ワイドショーなどテレビ各局の情報番組での「小池劇場」報道が、日増しにネガティブとなったのは事実で、選挙結果が出た後は各局とも"小池叩き"一色へと手の平を返した。まさに「"テレビの怪物"が、今回はテレビに殺された」(自民幹部)という図式だ。

「希望の党」共同代表に玉木氏浮上だが

希望の党は27日午後に開いた両院議員総会で当面共同代表は置かず、11月1日召集の特別国会での首相指名選挙では、当選回数8回のベテラン議員の渡辺周元防衛副大臣に投票することを決めた。ただ、大島幹事長も「暫定人事」との位置づけで、選挙中に小池氏主導で決まった党規約の共同代表に関する部分を「代表が共同代表を指名する」から「両院議員総会などでの選挙を経て」などに改訂して、特別国会後の11月末をめどに共同代表選挙を実施して新代表を選出し、本格執行部を発足させることも確認した。

注目される国政での「党首」となる共同代表には、結党メンバーの細野豪志元環境相、長島昭久元防衛副大臣、玉木雄一郎前民進党幹事代理らの名が挙がるが、新鮮味やアピール力から財務省出身で当選4回、48歳の若手論客の玉木氏を推す声が強まっている。玉木氏も昨年9月の民進党代表選に出馬したこともあり、「党を担っていく覚悟はある」と意欲満々だが、党内には異論もあり小池氏の出方も含め事態はなお流動的だ。

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