「iPhone X」が実用面でも"買い"といえるワケ iPhoneの未来を凝縮したモデルの真価とは?

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このビデオの後半には、顔面認証に用いられるTrueDepthカメラを用いて、これまで2つの背面カメラを用いて実現してきたポートレートモードのセルフィーを撮影できるようになった。被写体の認識も素早く正確で、より実用的な活用が見込める。

ディスプレーも特徴的だ。新たに採用された有機ELディスプレーは「Super Retinaディスプレー」と名付けられている。

iPhone Xのレンズ部分(筆者撮影)

有機ELディスプレーはこれまでの液晶ディスプレーと異なり、バックライトが必要ないことから、薄型化、省電力化、折曲げなどのデザインの自由度を実現し、またまるでブラックホールのような深い黒を実現することで、これまでよりも引き締まった写真や映像を楽しむことができる。またゲームやグラフィックスの世界では、ディスプレーの反応速度の速さも魅力としてあげられる。

これによって、縁までディスプレーを敷き詰める新しいデザインを採用でき、これを実現するためにホームボタンを廃止し、新しい顔による生体認証を導入した、というのがアップルの進化ストーリーだ。

セルフィーを進化させたい人におすすめ

iPhone Xを並べてみると、iPhone 8とiPhone 8 Plusの中間的なサイズに感じるが、実際に握ってみると、iPhone 8のサイズ感に近い。その中に、iPhone 8 Plus以上となる5.8インチのディスプレーを搭載しコンパクトさと大画面を両立している。

特にスマートフォンで映像を楽しむ機会が多い人にとっては、iPhone Xの画面サイズと有機ELディスプレーの画質、そしてiPhone 7よりも2時間長い持続時間を誇るバッテリー性能は、魅力的に感じられるのではないだろうか。

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加えて、ポートレートモードで撮影できるセルフィーは、より魅力的な写真をSNSなどに投稿したい人にとってぴったりの機能だ。ちなみに、2つ搭載されている背面カメラのうち、望遠カメラはより明るいレンズが採用され、手ぶれ補正も追加されたことから、暗い場所でのポートレート撮影やズーム撮影にも強くなった。

もちろん、新しいディスプレーや操作体験にいち早く触れたいという人にとって、iPhone Xは「思いっきり楽しめる端末」となるだろう。

それ以上に、より実用面を重視する人、つまり、よりコンパクトなボディと大画面を求める人、長くビデオ視聴を楽しみたい人、写真にこだわりたい人にとっても、iPhone Xがぴったりなスマートフォンということになる。

実直さがにじむデバイスの進化を、アプリ開発者が思う存分生かすことによって、まさ見ぬiPhoneの未来像を作り上げていくーー。そんなiPhoneの新たなページが、iPhone Xによって開かれようとしている。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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