何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。
【Vol.19】メーカーに就職しますが、不安を感じています
塩野さん、こんにちは。
キャリア連載、いつも楽しく拝読しております。
私は現在、就職活動中の身で、今のところ、来年の4月から造船メーカーで新卒として働き始める予定です。塩野さんもご存じかと思いますが、造船業界は中韓の企業に押されており、日系は非常に厳しいとのことで、この業界に飛び込むことに一抹の不安を感じております。
そんなこともあり、私は、ひとつの企業で定年まで働くのではなく、つねに転職することを視野に入れたうえで、これから働いていきたいと考えています。そのためには、履歴書に書けるような実績や確固たるスキルを身に付けることが重要だと聞きますが、まだ働き始めていないためか、「実績」や「スキル」といったものが具体的にどんなものを指すのか、今ひとつピンときません。多くの企業を渡り歩いてきた塩野さんから、どのように働き、どのようにしてそれらを身に付けるべきか、お伺いしたいと思い相談させていただきました。
また、働き始めたら東京を離れることになりそうなのですが、将来の転職を考えたとき、地方では得られる人脈や情報が少なくなるのではないかと危惧しております。ネットを使えばさまざまな情報が集められるようになったとはいえ、人から直接見聞きする“生の情報”は重要で、それは東京の方が多く得られるのではと思いますが、塩野さんはどのようにお考えでしょうか?
加えてお聞きしたいのは、転職にもある程度固定化したルートのようなものがあるのかどうか、ということです。たとえば、メーカーで働いていたら転職するにしてもメーカーに限られ、その後、コンサルや金融で働くのは厳しいのでしょうか?
お聞きしたいことが多くなってしまいましたが、どうぞよろしくお願い致します。
「実績」「スキル」を勘違いする学生たち
蝉の声も鈴虫の声に変わり、吾亦紅(われもこう)が「吾も亦紅なり」とささやく秋の気配を感じるようになってきました。そんな昨今ですが、今回は造船メーカーに内定されている学生の方からの、「実績」や「スキル」とは何なのか? 将来的に転職はできるのか?というご質問にお答えさせていただきます。前回の弁護士、弁理士の話ではうっかり回答が長くなってしまい失礼いたしました。一方で法曹の方々は長文に慣れているとみえ、たくさんのコメントを頂戴しました。ありがたいことです。
筆者もそうでしたが、なかなか就職前の学生では「実績」や「スキル」と言われてもピンとこないものですし、「スキル」をヒップホップ関連語だと思っている学生さえいるものです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら