弁護士、弁理士はこれから食えますか? 【キャリア相談 Vol.18】

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何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。

【Vol.18】弁護士、弁理士はこれからも食えますか?
 はじめまして、大手製造業に勤務する企業内弁理士です。専門職としてのキャリアについて悩みがあるため相談させていただきました。
 10年近く前にこの弁理士資格をとったのですが、多くの士業業界で見受けられるように、弁理士業界でも合格者が増加(昔の100人が今では700-800人合格)し有資格者が溢れ、合格しても弁理士会費を職場が支払ってくれず、登録しない人も溢れている状況です。
 私は、今は企業で弁理士として特許業務を扱っているのですが、戦略的なマネジメントが求められています。
 戦略的なマネジメントといえば聞こえはいいですが、良い特許が取れるように特許事務所の弁理士や技術者に調整をする雑用的な要素も強く、今の仕事を続けていて大丈夫なのかという不安があります。そして、全体を統括するような仕事が多いため、資格の専門知識を活かす場面も少ない状況です(業務に伴って技術知識や語学知識も身にはついているのですが、年を取るにつれて、専門知識を活用する仕事から管理業務へウェイトが移っています)。
 そして、元々特許の成果というのが評価が困難なことに加え、これらの管理業務も担当する部署の事情が異なるため、横一線での評価がみえにくいのです。そのため、社内の査定も上へのPRがうまい人が出世するという状況にあります。
 先細りしていく業界の状況と、自分の専門性のありかがわからない状況で、これから自分が大丈夫なのか不安になっています。こういった管理業務を主に任された人はどういった点に主眼をおき、キャリアを身に着けていけばよいでしょうか?"

3つの切り口から回答

朝夕に暑さが和らぎ、ふと顔を上げると空に青い柿が浮かぶ今日この頃です。都会を少し離れれば、青々とした田園に風たちが窪みをつけている頃でしょう。そんな昨今ですが、今回は企業内弁理士の方から、自分の専門性のあり方、そして今後のキャリアの方向性についてのご質問をいただいております。

筆者は国内外のM&Aや事業開発を生業にしており、技術系のプロジェクトを扱うことも多いため、弁護士、弁理士の方々とは日常的に仕事をしています。また、筆者は米国のロースクールを出ており、勤務先の同僚に弁護士資格保有者もいるため、今回は少し広範に士業のこれからのキャリアについて整理してみようと思います。

ここからは、①弁理士・弁護士を取り巻く環境、②インハウス(企業内)の弁理士・弁護士の付加価値、③士業における自己の再定義、の順でお話しさせていただきます。

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