残念な部下に「スイッチ」を入れる単純な方法 仕事ができないのは能力不足ではない

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モチベーションを醸成する企業文化をつくりたいと願う企業のリーダーの中には、昨今の「企業文化」にまつわるトレンドに圧倒される思いを抱いている人もいるかもしれません。

社員の気分転換のためにさまざまな設備があるのはすばらしいことですが、企業文化の構築はそれよりもずっと細部に気を配り、戦略的でなければなりません。ここで示すアブラハム・マズローの欲求段階説から抜粋した人間の欲求段階は、何から始めるべきかを考えるうえで役に立ちます。

「基本的欲求」をまずは与える

マズローは人間の欲求には5つの階層があると唱えています。人脈づくりや目標設定、クリエーティビティといった「成長欲求」が芽生えるには、飢えや安全といった「原始的な欲求」が満たされていなければなりません。言い換えれば、従業員にいちばん上の階層の欲求を持たせるには(ビジネスに必要なのはより創造的な問題解決が行える人材なのです)、まず最も基本的な欲求を満たす必要があるということです。

(出所:『Psychology Today』)

別に、ランチを無料で提供したり、昼寝用の快眠マシンを提供したりする必要があるといっているわけではありません。そうしたこと以外にも、生活賃金を支払ったり、職場での困りごとに素早く対処したり、メンター制度やイベントを通じて従業員を支援する文化を作り上げたりすることによって基本的な欲求を満たすことができます。

さまざまな研究によって、こうした「安全欲求」や「所属欲求」が満たされるかどうかが、企業の利益を左右することが明らかになっています。コーナーストーンのレポートでは、問題行動を起こす同僚が同じチームにいた場合、優秀な人材が会社を辞める確率が54%高くなるという結果が出ています。

また、ギャラップ社の「State of The Global Workplace(世界の職場環境の状況)」2017年度版レポートによると、職場に親しい友人がいる従業員が全体の6割いれば、危機管理に関する問題を36%減らすことができ、顧客エンゲージメントを7%、利益を12%向上できるのです。

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