子どもにおカネを無心し続ける母親の正体 虐待被害者が抱え続ける「痛み」とは?

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数年後、偶然会った男友達に教えてもらったのです。私が料理を運んだり、トイレに立つたびに、あなたが男友達を押し倒してキスをし、性的な関係を持とうとしていたことを。恥ずかしくて情けなくて、涙が出ました。

私はあなたから逃げるように結婚。家を出ました。でも、あなたからのお金の無心は続き、産後うつになり、旦那さんの実家とも上手くつきあえず、離婚を考えてる時も、お金の無心は止まらず、居場所がありませんでした。

「孫を連れて帰ってくればよい。跡取りができる。生活費はおまえが働いて私に入れれば、孫の面倒は見る。離婚するなら慰謝料と養育費をもらってから来い」

私はあなたの言葉で疲れてしまい、遺書を書きました。山で首を吊ろうか、ガソリンをかぶろうか。でも、怖くて死ねません。息子のことも気がかりでした。

私は病院へ行き、薬をもらいました。でも、薬は体に合わず、一晩中、吐きました。吐くものがなくなっても、体は薬を出そうともがくのです。驚きました。頭では死にたいと思っているのに、体は生きようとしている。

あなたを親と思わない

その時、私は初めて「自分がかわいそうだ」と気づきました。金を生まないなら何の価値もない役立たずだと、あなたが私に思いこませていたことにも。

お金の道具でもご機嫌とりでもなく、そのままの私を愛してほしかった。それをずっと言えなかったことに気づいた時、涙が止まりませんでした。私はただ息子のために生きると決め、あなたを親と思わないようにしました。

私の子育てについて意見された時、腹が立って今までの出来事、想いをすべてぶちまけました。ずっと言ってはいけないと思ってたことを。

『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

あなたが泣いて謝り、悔やむことを期待しました。そうすれば、私はもう一度、ちゃんと生き直すことができるかもしれない。でも、すべては幻想でした。私の数十年の苦しみを「おまえは頭がおかしい」の一言で流されてしまいました。

本を読みあさり、セラピーを受け、自力で自分をいやす方法を探しました。息子の存在もあり、私は徐々に自分が生きている意味を見いだしました。年老いたあなたは相変わらず、ガンの手術から退院した父を足蹴にし、「死ねばよかったのに」と毎日ののしっているとか。

あなたが今後変わることはないでしょう。さようなら。

今 一生 フリーライター・編集者

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こん いっしょう / Con Isshow

1965年生まれ、群馬県出身。早稲田大学第一文学部(当時)除籍後、コピーライターを経てフリーの雑誌記者に。1997年、『日本一醜い親への手紙』を「Create Media」名義で編集。Create Media名義の編著に『子どもたちの3.11』(学事出版)ほか。著書に『よのなかを変える技術 14歳からのソーシャルデザイン入門』(河出書房新社)、『猫とビートルズ』(写真・雨樹一期との共著/金曜日)など多数。

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