弁護士失墜の大元凶、ロースクール解体勧告

「負のスパイラル」が止まらない弁護士業界の内情

「弁護士を続けていくべきかどうか、正直悩んでいる。普通に家庭を築いて、安心して暮らせないとなると考えてしまう」

今年1月から都内で働き始めた20代の新人弁護士の男性は、こう本音を漏らす。男性には所属する法律事務所から給料が支払われることはない。逆に月数万円の経費を払って場所を借りるが仕事は自分で探す、いわゆる「ノキ弁」(軒先を借りる弁護士の意味)として働いている。

当初弁護士としての稼ぎはほとんどなく、主な収入源は司法試験予備校の答案添削だった。「事務所経費と家賃を払うと赤字。祖母から借金して何とかしのいだ」と振り返る。

今は原子力損害賠償紛争解決センターの調査官として安定収入を得ているが、「ずっと続く仕事ではない。弁護士になるまでにかかった800万円の借金を返すためにも、割のよい民事事件を増やしたい」という。

「士業」の最高峰にある弁護士の世界が今、大きく揺れている。若手を中心に、食えない弁護士が続出している。背景にあるのは弁護士数の急増だ。かつて年500人程度だった司法試験の合格者数は増員を重ね、2007年以降の6年間は年2000人の合格者を出している。弁護士数は01年の1.8万人から昨年には3.2万人まで急増した。

大幅増員へと舵を切る決め手となったのが、01年に出された政府の司法制度改革審議会(佐藤幸治会長)の意見書だ。弁護士が企業や公的機関など社会の隅々まで進出し、その需要は量的に増大、質的に多様化・高度化するとの見通しだった。

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