日本人が知らずにしている外国人差別の実態

無意識のうちに観光客を傷つけていないか

外国人の中には、残念ながら運賃をごまかす人がいるのは事実だ。英語教師や留学生など、短期滞在者の中には、日本の決まりを軽視している人も少しだがいる。しかし、Aさんは自分から差額を払おうとしたわけで、彼が駅員から無礼な扱いを受ける理由は何一つない。彼は、外見だけで「運賃をごまかす外国人」と判断されたのだ。

過剰な親切もある意味では、差別行為といえる。日本では、アジアからの観光客より、欧米の観光客のほうが親切に対応されることが少なからずある。たとえば、欧米人ははしの使い方を知らないだろうという「偏見」から、日本人とレストランに言っても、1人だけはしの代わりにフォークとスプーンを用意されることがあるが、これは恥ずかしく、不快で、時には屈辱的な行為だ。

すしを食べる外国人、アニメが好きな外国人…

テレビは現実よりもヒドい。たとえば、人気番組の「Youは何しに日本へ?」(テレビ東京)で、スタッフは(日本を訪れる外国人観光客のほとんどはアジアからにもかかわらず)空港で西洋の外国人を選んでいるように見える。しかも、スタッフは空港を歩いている人の中でも、最も風変わりで、わけがわからない人を選んでいる。日本を祖国のように思っている長期滞在者にとっては害のあるステレオタイプを助長させるような人を選んでいるのだ。

自分が何の取材を受けているのかもわからない観光客が、すしを食べたり、好きなアニメを挙げたりするたびに、スタジオのタレントたちは「お~」とか「あ~」とか言うのを見ていると、心底うんざりする。外国人は、どこまでも「日本人が考える外国人」であることが求められるのだ。おそらく、かなりの数の外国人タレントも、人種的、文化的ステレオタイプを受け入れる、あるいは、ウリにすることで生計を立てているのだろう。

多くの日本人にとって、日本人ではない人たちとの交流は彼らの日常生活の一部ではないだろう。日本人以外の友達がいない人も少なくないだろう。そうであれば、偏見や差別の問題なんて気にしなくていいかもしれない。

が、長期的な視野に立ったとき、こうした考えを持つ日本人が多くいることは、日本に悪影響を与えかねない。たとえば、偏見や差別に基づいた行動は、才能のある外国人を日本に引き寄せ、維持し続けることはできないだろう。日本の大学や企業は、優秀な外国人を取り込もうとしているが、彼らを「個人」ではなく、「外国人」として扱うかぎり、彼らに長く滞在してもらうことは難しい。実際、私が知るかぎりでは才能ある多くの外国人が、結果的に日本を出て祖国へ戻っている。

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