学校予算をPTAに頼らない!ある校長の信念 学校が先に動けば、保護者だって動く

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愛知県豊田市立浄水中学校校長・片桐常夫先生。新設校である浄水北小(2014年)、浄水中(2016年)でPTCAを立ち上げた。

義務や強制がなく、会費もとらず、保護者と地域と学校が子どもたちのために協力する組織があります。愛知県豊田市立浄水中学校PTCAです。

PTCAとはPTAに地域(コミュニティの頭文字:C)を加えたもの。活動はすべて、本物のボランティア方式です。学校や行事の手伝いは義務や強制に頼らず、保護者や地域の人々が自主的に行います(前回記事「義務・強制なし!あるPTAの『柔らかい発想』」)。

どうやってこんな組織をつくることができたのか? 強制をせず、会費をとらなくても、活動は本当に成り立つのか? 今後の課題は?

この仕組みを導入した片桐常夫校長先生に、お話を聞かせてもらいました。

学校予算をPTA会費に頼るのはおかしい

片桐校長が最初にPTCAをつくったのは、2014年に新設された「浄水北小学校」です(現在着任している浄水中学校は2016年に新設)。

開校前、片桐校長は北小の前身となる学校に足を運び、教頭先生やPTA会長、PTA役員の人たちに順次、新組織の構想を説明しました。

提案したのは、こんな組織です。「1 選択・多様性・個性を尊重する」「2 地域ぐるみにする」「3 主体的に行動できるシステムにする(義務や強制をやらない)」「4 会費をなしにする」

最初はみんな、驚いたそうです。まず、義務や強制をやめて、本当に人が集まるのか? 片桐校長はこう答えたといいます。

「必ず集まります。どうしても集まらなかったら、それはやめればいいこと。もし本当にやらなきゃいかんことだったら、僕がやります。だからみなさんは何も心配しなくていいです、と言いました」

絶対に必要な活動ならむしろPTAがやるべきでなく、学校や行政がしっかりやらなければいけませんし、絶対に必要ではない活動なら、やめることも可能だということ。確かに、そのとおりです。

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