本屋の生きる道「本を置きすぎちゃダメだ」 アマゾン全盛時代の「本屋」の生き方<後編>

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数を絞ったほうが本に出合いやすい(編集部撮影)
9月1日に東洋経済オンライン主催で行った成毛眞、嶋浩一郎、水代優の3氏による「街の本屋」鼎談。その後編をお送りします(前編はこちら)。
大型書店との住み分けや、街の本屋なりの個性の演出。そして、黒船アマゾンとの戦いなどについて議論が白熱しました。

街の本屋は5分で世界一周が楽しめる

成毛 眞(なるけ まこと)/1955年北海道生まれ。中央大学卒業後、アスキーなどを経てマイクロソフト日本法人に入社、1991年より社長を務める。2000年に退職後、インスパイア設立。書評サイト「HONZ」代表、スルガ銀行社外取締役などを務める。『ノンフィクションはこれを読め!』(中央公論新社)ほか著書多数

成毛:参加者からの事前の質問に「書店が飲食可としてしまうと漫画喫茶のようにはならないのか?」というものがありましたが、お2人の話を聞くと、全然そうじゃないですね。人と人が集まってアイデアをシェアするとか、仲間づくりする、そんなことができるというスペースなのでしょう。だとすると、「意識が高い人」だけが集まる場になってしまう懸念はないんでしょうか。

:そうはしたくないですね。僕は「街の本屋」をやりたいと思っています。誰もが欲しい本を置き、世界を構成する要素を全部入れています。歴史・宇宙・ジャズ・野球・ガーデンニングの本があって、ビルドゥングスロマン(教養小説)や、ドロドロの恋愛小説もある。さらに地理や、言葉の本まで入れてます。小さい本屋は5分で回ることができて、いろんなものが一気に見えるのがすてきだと。簡単に言えば5分で世界一周できるみたいなことです。

僕の本屋づくりの先輩が京都・恵文社店長だった堀部篤史さん(現在は独立して誠光社を丸太町にオープン)。堀部さんに棚作りについて聞きました。答えは、「1人の本好きが棚を作るとよくない」。では、どう作っているかというと、5人で本棚をいじる。ジャンルごとの担当分けではなく全部のスペースを5人でいじって、補塡する。朝、堀部さんが本を足したら、夕方には違う人がどんどん足していじっていく。5人が選書して、寄ってたかって本棚をいじると、結構いろんな人が欲しいものが見つかるようになると。その教えはありがたかったです。

成毛:店長を除くと、みんなバイトだったりするんですよね、訓練を受けた司書でもなければ、キュレーターでもなくて、そのほうが面白い棚ができるかもしれないですね。水代さんはどうやって作るんですか。

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