日本人が知らない「プロジェクト・ゼロ」社会 英国人ジャーナリストが描く「資本主義」以後
資本主義を待つ「2つのシナリオ」
資本主義への長期的な見通しは暗い。経済協力開発機構(OECD)によると、今後50年にわたり、先進国の成長は「緩やか」と予測されている。不平等のレベルは40%上昇し、発展途上国でさえ、近年のダイナミズムにあふれる成長は2060年までには衰えるという。
OECDのエコノミストは、とても気を配る人たちなので、「先進諸国では資本主義の最盛期は過ぎた。そのほかの諸国でも、私たちが生きている間に資本主義は終わるだろう」とはっきり言い切ることはないのだ。
この状況から抜け出すには、表面上では2つの道しかないようだ。1つ目のシナリオは、今後10年か20年にわたり、グローバルエリート(世界のエリート層)が権力にしがみつき、危機にかかるコストを労働者や年金生活者、貧困層に負わせる、というものだ。国際秩序は、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、世界貿易機関(WTO)によって擁護され、弱体化した形でなんとか保たれる。グローバリゼーションを救うためのコストは、先進国の一般市民が引き受ける。だが、成長は停滞する。



















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