米国は「高齢者視点」で住みやすい国なのか 高齢者の「生きやすさ」を測る新たな指標

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高齢者が住みやすい国は?(写真:YokobchukOlea/PIXTA)

高齢人口に見合った最良の施策を行っている国はどこだろうか。

日本は健康な高齢者が最も多く住む国だ。スペインは支援する親戚や友人がいることで、最高点を得ている。ノルウェーは、高齢者の所得不平等が世界最低だ。さて、米国はどうだろうか。

このたび新たに発表されたグローバルエージング指標によると、米国は、ノルウェー、スウェーデン、オランダ、日本とともに上位5カ国の一角を担っている。しかし、この指標のカテゴリーの大部分において、米国には多くの課題が残っていることもわかった。

高齢者が快適に暮らせる環境とは

ジョン・A・ハートフォード財団が助成した「ハートフォード指標」は、コロンビア大学と南カリフォルニア大学の研究グループによって開発された。各国の退職後の生活を比較する過去の研究は、主に経済的・金銭的尺度に焦点を当ててきた。しかし、今回の研究は生産性と雇用、福祉、正当な権利享受、多世代との結び付き、老後の安心という幅広い視点を採用し、5つの地域の30カ国のデータを検証している。

こうした要素を考慮に入れることは重要だ。これらのカテゴリーは、高齢者が快適に暮らせる環境について、研究グループが重視する点が入っているからだ。「経済的尺度に勝る重要な要素は、多くある」と、この研究チームのリーダーであるコロンビア大学の公衆衛生学部のジョン・ロウ教授は話す。

米国は総合で上位の5カ国の仲間入りをしているものの、明らかに矛盾した成績を取っている。たとえば、「生産性と雇用」では1位になっているが、これは就労率、実質的な定年、ボランティアに費やす時間を考慮に入れている。

米国はまた、各世代との強い結び付きに関しても、高得点を得ている。一方、健康、経済的安定、所得不平等を評価するカテゴリーにおいては、「やや劣る」から「劣る」に入ってしまっている。

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