「安倍首相は2年未満で退陣」というジンクス 今は北朝鮮と民進党が「助けている」だけ?

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そして最大野党である民進党は、お得意の「ブーメラン」を壮絶な形で決めてくれた。蓮舫代表の辞任を受けて行われた代表選挙で、前原誠司元外相が枝野幸男元官房長官を破ったのはいいが、いきなり幹事長人事で躓いてしまった。いや、山尾志桜里議員の不倫疑惑がそこまで悪いことだとは筆者は考えないが、個人としての危機管理ができない人間に幹事長を任せてはいかんだろう。そしてまた、幹事長をまともに決められないような野党が、政権をとって組閣ができるとは思えないではないか。

かくして有権者は、かならずしも安倍政権に満足しているわけではないのだが、他に選択肢がないという現実に回帰しつつある。それでは再び「安倍1強」に戻れるのかと言えば、たぶんそうではないだろう。宿願の憲法改正も大きく遠のいたし、ロシアとの平和条約も難しそうだし、東京五輪もずいぶん先のことである。総裁任期を延長したから次の総裁選を終え2021年まで…などとはもはやご本人も考えてはいまい。

今後の安倍首相は、とにかく政権を維持することを最優先しなければならない。対外的には、綱渡りで北朝鮮の脅威に対応しなければならない。国内的には、「働き方改革」などの経済政策が待ち受けている。先の内閣改造以来、「岸破聖太郎」と称する後継者レースも始まってしまった(岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長、野田聖子総務相、河野太郎外相)。支持率もそれほど回復しないだろう。

「年号が変わると首相交代」のジンクスを破れるか

さらに現内閣は、来年末に向けて「平成の終わり」という微妙な準備も進めなければならない。年号が変わるというのは実は大変なことなのである。この国には不思議なジンクスがあって、「過去に元号を跨いだ長期政権はない」。以下のように、年号が変わると、それから4~6か月後に首相が交代しているのである。

* 明治から大正:明治45年7月30日に明治天皇崩御。ときの第2次西園寺公望内閣は、大正元年12月21日に「2個師団増設問題」で退陣し、桂太郎内閣が誕生。

* 大正から昭和:大正15年12月25日に大正天皇崩御。ときの第1次若槻礼次郎内閣は、昭和2年4月20日に「昭和金融恐慌」で総辞職し、田中義一内閣が発足。

* 昭和から平成:昭和64年1月7日に昭和天皇崩御。ときの竹下登内閣は、「リクルート事件」「消費税への不満」などが原因で平成元年6月3日に総辞職。宇野宗佑内閣へ。

上は「ただの偶然だよ」、と笑い飛ばしていただいても構わない。とにかく年号の変わり目には、いろんなことが起きやすいようなのだ。安倍首相としてはこれから先、とにかく低姿勢で行かねばならないだろう。

これまで安倍晋三氏は、人気が出てくると理念的なタカ派になり、ピンチになると経済重視の現実主義者に戻ってきた。市場関係者から見れば、今のような政治情勢はグッドニュースと解することができるだろう。つまり「弱い安倍首相」が、低姿勢で国内の経済問題に専念する。それでこそアベノミクスを続けることができるし、結果的に日本経済にも良い効果をもたらすと思うのである。

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