9月は「暴落の月だからヤバイ」は正しいか 「米本土テロ」や「リーマン」の悪夢がよぎる

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9月と言えば、どうしても暴落のイメージがつきまとう。だが過去20年を見ると…(写真:ロイター/アフロ)

「やれやれ、日経平均株価が再び2万円に手が届く水準まで来たか」と思った矢先、「北朝鮮軍」が再び株式市場に売りを浴びせてきたようです。

9月9日の北朝鮮の建国記念日を前に「何かやる」とは思っていたため、3日の行動自体は驚きではありませんでしたが、週明け4日の日経平均株価は一時1万9500円割れ。今回の大規模な核実験に続き、ICBM(大陸間弾道ミサイル)のグアムや米西海岸の近くに向けた発射など、追加的な挑発行為があるかもしれません。それらを警戒し、日本株には「地政学リスク」を理由に海外投資家によるヘッジ売りが続いているようです。北朝鮮情勢だけが理由ではありませんでしたが、5日のNYダウは前週末比で234ドル安で終了。為替も再び1ドル=108円台に入りました。

9月は「リーマン」のイメージ強いが、過去20年は?

一方、世界景気は堅調です。筆者がいつもみている、米国と中国の製造業PMI(購買担当者景気指数)の合計は、8月は110.5と、2011年4月以来の水準まで上昇しました。ただ、連動するはずの日経平均株価は弱含みです。地政学リスクが邪魔をして株価の反応が遅れているだけならいいのですが、先見性があるといわれる株価が景気のピークアウトを予見していたとしたら、地政学リスクで下げたように思われている今の局面では、「押し目買いは正しくない」ということになります。今年もやっかいな9月相場入りとなりました。

さて、直近20年(1997~2016年)における日経平均株価の9月の騰落状況を見てみると、7勝13敗と「負け越し」です。ただ、意外感があるのは、過去20年間の平均値幅が、6月、2月に続いて小さいことです。
下げたときの主なケースを振りかえってみましょう。2015年は中国リスクの高まりに加え米国の利上げに対する警戒感から下げが加速しました。2011年は、欧州債務不安・米国景気の二番底懸念、2009年は円高進行で7カ月ぶりに下落。2008年はリーマンショックによる金融危機、2004年はハイテク株安などで9日続落、2003年は円高進行で失速、2002年は不良債権問題などを背景に19年ぶりの9000円割れ、2001年は9月11日の米同時多発テロで急落、といった具合です。

一方、上昇したケースはというと、2013年はFRB(米連邦準備制度理事会)が予想に反して量的緩和の縮小を先送りしたことで、金融相場への期待感が広がりました。2010年は6年ぶりに政府・日銀による為替介入実施で円高が一服。2007年はFRBの大幅利下げで信用収縮懸念が後退、2005年は衆院選の与党圧勝を契機に上昇しました。

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