ソニー復活の源泉「プレミアムシフト」の正体 レンズ交換式カメラでもシェア急拡大
粂川社長は「カメラのように趣味性の高いジャンルは、かならずシャワー効果がある。ハイエンドに魅力ある商品を投入し、存在感を示していくことでその下のクラスも売れ始めるため、今後もフルフレーム市場でのシェアを上げることに取り組んでいく」と話すが、ハイエンドのカメラ市場での売り上げ増加は周辺機器やレンズの売り上げという面でもプラスに回っていく。
たとえばα7シリーズとα5000シリーズを比較すると、本体購入後に関連商品を購入した金額には3倍の違いがあったという。α9の投入やフルサイズセンサー搭載機の販売施策、サポート体制強化などで収益性を高めていくとのことだ。
ヘッドホン市場でも
プロ向けカメラの市場ではキヤノン、ニコンの牙城はまだ強固だが、ヨーロッパ各国でのプロ向けサポート体制を順次整えていることや、直近のシェア動向を見る限り、今後はニコンに代わってキヤノンのライバルになっていく可能性が高いだろう。ヨーロッパ市場はミラーレス機の比率が日本よりも低かったが、この1年で30%から40%へと比率が急増。その背景にはαシリーズの好調がある。
高価格帯製品へのシフトという面では、ヘッドホン市場でも大きな変化が起きている。ヨーロッパ市場はゼンハイザー、AKGといったトップブランドの本拠地だが、その中にあって台数ベースのシェアは、これまでもナンバーワンを堅持してきた。
しかし高価格帯の製品に弱く金額ベースのシェアでは常にナンバー2。ところが昨年、高性能ノイズキャンセリングヘッドホンのMDR-1000Xを投入すると一気にシェアを伸ばし、今年6月、7月は売上金額でもナンバーワンになった。今年のIFAで、MDR-1000Xの後継機種と、その派生機種を2モデル投入したのは、この流れを拡大し、ヘッドホン/イヤホンジャンルでのプレミアムシフトを促すためだ。
今年、平井CEOは「エレクトロニクス事業の復活が目標達成のキーファクターだ」を繰り返し発言してきた。当初はその発言を受けとる側にも戸惑いはあった。なにしろ、エレクトロニクス事業はソニーの収益を圧迫する元凶と名指しされていたのは、ほんの2〜3年前のことだ。しかし、今やソニーの事業全体を回し、ブランド面の強化も図る強力な推進エンジンとなりつつある。その一端をソニーヨーロッパの数字は語っている。
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