本格復活?ソニーには追い風が吹いている 平井一夫社長が語る「高付加価値戦略」

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「CES 2017」の会場でインタビューに応じるソニーCEO兼社長の平井一夫氏(写真:筆者撮影)

「(4月から始まる)新年度は“総括”の年にする。新年度は中期計画最後の年。結果を出していかねばならないし、結果を出せると思っている」

ソニーCEO兼社長の平井一夫氏は、米ラスベガスで1月5~8日に開催された「CES 2017」の会場における取材で、営業利益5000億円およびROE(自己資本利益率)10%という目標を掲げた2015年度から2017年度までの中期経営計画達成に自信を見せた。自信の裏には、本業であるエレクトロニクス製品の好調さがある。

平井氏は社長就任前、エレクトロニクス製品担当の副社長だったころから高付加価値製品へのシフトを進めてきた。万年赤字だったテレビ部門も量販モデルでシェアを狙うのではなく利益が取れる価格領域に絞って展開を行い、2015年度(2015年4月1日~2016年3月31日)には4.5%の減収だったものの、営業利益は前年比で3倍近い258億円を稼ぎ出した。春には2016年度の成績発表となるが、昨年末はさらに好調な商戦を戦ったことを考えると、極端な為替変動がないかぎり大幅な営業利益増が見込めるだろう。

日本やアジアで好調なオーディオ機器の販売が欧州にも伝搬している。昨年秋にはヘッドフォン関連の高級オーディオ機器向けに3つの高級機を投入。北米市場では苦戦しているものの、いずれも商品力が高くオーディオメーカーとしてのソニーブランドが残る地区では収益貢献も大きいのではないかと予想される。

オーディオ製品は売り上げ規模こそ映像製品よりも少ないが、映像機器に比べ原価が安く、高付加価値製品を売ることができれば利益を出しやすい。

デジカメの高付加価値製品は伸びている

高付加価値路線へとフォーカスして成功した代表的な例はカメラ事業だ。

デジタルカメラ市場は緩やかな縮小が続いており、スマートフォン普及の余波を受けたエントリークラスのコンパクトカメラは市場そのものが失われつつあるが、高付加価値製品は伸びている。

廉価な製品が多かった“ミラーレス一眼”のジャンルに大型センサーや高速AF技術などを積極採用し高級ミラーレス機市場を生み出した。高級コンパクトカメラのRX100シリーズは初代モデルが2012年に発売されて以降、基本デザインを変えないまま第5世代機までが開発され、全モデルが併売されている。しかも、初代モデルは現在でもベストセラーの人気製品だ。

準備万端で中期計画の最終年度を迎えようとしているわけだが、不安要因はある。

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