禁煙が全くできない人が知らない3つの依存 体、心、習慣…それぞれ対処法は違う

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これらを生活習慣に取り入れながら、あわせて禁煙外来に通う、禁煙補助薬を服用するなどすれば、体の依存からは逃れられるはずです。

喫煙が生活の中に組み込まれている状態

「習慣依存」とは、喫煙が「寝起きの一服」「食後の一服」というように、生活の中に習慣として組み込まれている状態のことです。

ヘビースモーカーに多いのは、同じ場所で同じ時間にタバコを吸う傾向。ある特定の人と一緒にいるときや、手持ちぶさたのときなどに吸わなければ、しっくりこないし、つらく感じる。それが、習慣依存です。

習慣は、心理学でいう「条件づけ」によってつくられています。「パブロフの犬」という言葉があります。犬にエサを与えるときにいつもベルを鳴らすようにしていたら、ベルの音を聞くだけで自動的によだれが出るようになった、というものです。それと同じで、いつもタバコを吸う時間に、いつも吸っている場所にいると、条件づけされているので、タバコが吸いたくなるのです。

たとえば、タバコを吸うときには一緒にコーヒーを飲むという人も多いと思います。すると、コーヒーとタバコが結びつき、コーヒーを飲むとタバコが吸いたくなります。食後にいつもタバコを吸っていると、食事とタバコが結びつき、食後の一服ができなければ、食事に満足しない状態になってしまいます。

また、楽しくくつろいだ状況で吸うことが多ければ、楽しさとタバコが結びつき、楽しいときには喫煙したくなるよう「条件づけ」されます。こうして、習慣依存は形成されてしまうのです。

どうすれば、習慣依存から逃れられるのでしょうか?

簡単なことです。今までタバコとセットになっていた環境やモノ(トリガー=引き金といいます)を遠ざけるだけです。すると、トリガーとタバコの結びつきがゆるやかになり、習慣の力は自然に弱まっていきます。

そのために必要なのは、「レコーディング禁煙」。思い立ったらいきなり禁煙するのではなく、まずは2週間ほど、自分の喫煙状況をメモするというやり方があります。

具体的には、「タバコを吸いたくなったときの時間」「1日に吸った合計本数」「吸ったときの状況(場所、そのときの気持ち、誰と一緒にいたか)」などを綴ります。すると、喫煙者にとって吸いたい気持ちを引き起こす「トリガー」が何か、わかるようになります。

あとは、その条件を遠ざけるだけです。たとえば食後に吸いたくなるなら、あらかじめ禁煙席に座る。飲み会で吸いたくなるなら、しばらく酒席には出ない……。

もしくは、喫煙習慣をほかの行動で置き換えることができるようになると、習慣の力は低下していきます。たとえば、タバコを吸いたくなったら代わりにガムをかむ、水を飲む、などがあげられます。また、深呼吸や最近話題の「マインドフルネス瞑想」も、置き換える行動としておすすめの方法です。

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