イケメンや美女がビジネス書を席巻する日 電子書籍発で起こりうる市場変革

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動機が知識の伝播であるビジネス書作家の主戦場は、書籍、電子書籍を経て、その次のメディアへ向かっています。

「note(ノート)」のようなWebサービスかもしれませんし、SNSやアプリかもしれません。中でも前回触れたように、動画の時代が到来することでしょう。ネット上の番組や無料動画サービスを使って、個人的に発信する動きが活発になっていく。ビジネス書作家は脚本家としてネタだけを考えて、TED(Technology Entertainment Design)のようにプレゼン力のある人が出演する新たな分業スタイルが生まれるかもしれません。同じ解説をするなら、イケメンや美女がしたほうがいいと、ビジュアル重視の時代が進むような気もします。

※note(ノート)…「文章や画像、音声ファイルの記事(ノート)を簡単につくり、 つくった作品を手軽に売り買い」して、「ファンとのコミュニケーションも可能」なサービス(公式HPより)。ダイヤモンド社で『もしドラ』などをヒットさせた編集者、加藤貞顕氏が創業したピースオブケイク社が運営している。
『平成のビジネス書「黄金期」の教え』(中公新書ラクレ)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

その時は、もはやビジネス「書」ではないでしょう。

私の予測を、出版関係者や従来の読書家は負のものとして捉えるかもしれませんが、しかしそもそも出版社というのは、版木から紙に刷って売っていたのが原点。それがいつしか活字になり、さらに電子に器を変えたとしても、その本質にはなんら影響がありません。

先達にならって時代を直視し、あまり古い器にばかり固執するのではなく、どうやって新しいものを見つけていくのかが大切です。そして、そういった適応力や生存戦略こそが、私たちがビジネス書から学べる最大の知恵なのかもしれません。

山田 真哉 公認会計士・税理士

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やまだ しんや / Shinya Yamada

1976年、神戸市生まれ。公認会計士・税理士。 大阪大学卒業。東進ハイスクールを退職したのち公認会計士試験に合格。中央青山監査法人/プライスウォーターハウスクーパースを経て、現在は日本最大級の芸能界専門会計事務所である一般財団法人芸能文化会計財団で理事長を務める。著書である小説『女子大生会計士の事件簿』(角川文庫他)はシリーズ累計100万部、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社新書)は163万部を突破。会計本ブームの火付け役となった。

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