マクロン支持率急落が示す現代社会の大問題

「トランプの世界」は簡単に変えられない

就任100日余りで早くも支持率が急降下しているマクロン大統領(写真:ロイター)

ありとあらゆる称賛を集めて就任したフランスのエマニュエル・マクロン大統領のハネムーン期間は、惨めなほど短かった。5月に投票総数の約67%の支持を集めて選出され、多くの人々が表明していた「怒り、不安、疑い」を尊重し、対処することを約束し、「欧州とその人々の間の絆を再構築すること」を同大統領は誓った。

その勝利に酔った夜以来、マクロン大統領は期待の高さから、フランスの政治生活にまつわる永続的な難問にどっぷり浸かってしまったようだ。彼の輝かしい支持率は、6月の64%から急落、今週には37%まで落ち込んだ。世論調査の数字は気まぐれなものだが、これはフランスの選挙区の一部の季節的な変動というよりも、もっと厄介な真実を反映している可能性が高いのだ。

痛みを背負わなければいけない立場にある

左派と右派の両方に魅力的な中道派のマクロン大統領と、国民戦線の極右政治家、マリーヌ・ルペン氏。2回目の決選投票で、有権者たちがどちらかを選択せざるをえなかった状況下で、マクロン大統領は投票総数の3分の2を獲得した。同大統領とのテレビ討論会でのルペン氏の最終的なパフォーマンスは、将来の大統領の態度というよりも、「夕食後の大酒飲みの集まりに来るほうが適している」と描写されていた。

マクロン大統領への票の大部分が同大統領を支持していたわけではないが、有権者の34%という相当な数が、ほとんどル・ペン氏を支持していなかった。1回目の討論会で、出席した10人の候補者のうち大多数が、グローバリゼーションからの何らかの保護を求め、欧州連合(EU)へのある程度の反感を表明していた。

EU、グローバリゼーション、さらなるEU統合のための仏独のリーダーシップ復活を率直に容認するというマクロン大統領に対して、有権者の態度は懐疑的なものから、嫌悪しているものまでさまざまだった。彼は穏健な懐疑主義者を納得させることは可能だが、これは結果を出すことによってのみ可能だ。これらを達成するためには痛みを伴う。同大統領は痛みを背負わせなければならない立場にあるのだ。

フランスの軍隊は、すでにこの痛みを感じている。いまや「上司」であることを強調して、マクロン大統領は軍事予算の8億5000万ユーロ削減を発表し、先月に軍の代表者、ピエール・ド・ヴィリエ大将に即時辞任を促した。同大将はマクロン大統領に、「無駄な脂肪は一切残っていません。あなたは筋肉を切り落とそうとしているのです」と述べていた。もはや自分には、フランスを守るために必要だと信じる「強固な防衛力を保証することはできない」ので辞職する、と語っていた。

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