北朝鮮危機の最大リスクはトランプ大統領だ

金正恩が予期せぬ行動に出ることはないが…

金正恩委員長が、核開発を進める目的とは(写真:Issei Kato/ロイター)

75年前、バルト海のペーネミュンデでドイツ陸軍兵器実験場から発射されたドイツのV-2ロケットの試作品が、高度84.5キロメートル(52.5マイル)に到達した。それは考えようによっては、宇宙空間における最初の人工物であった。

その年、世界は第2次世界大戦の真っただ中で、米国の参戦に伴いアドルフ・ヒトラーとナチスにとって形勢はすでに不利なものとなっていた。しかし、もし世界最初の弾道ミサイルを完成させ、かつ原子爆弾を製造する競争に勝つことができれば、実質的に難攻不落となるだろうとヒトラーたちはわかっていた。

北朝鮮は「夢」をかなえる一歩手前まで来ている

もしドイツが先に核爆弾を手に入れていたとしたら、連合軍は多くの西側諸国の都市を、広島や長崎のように破壊するという危険を冒すよりも、講和を求めることを余儀なくされていた可能性が高い。

ヒトラーがそれを成しえなかったことは、ほかの国々にとって幸運だった。しかし、それは北朝鮮の金正恩委員長が肝に命じている教訓にもなった。

最新の弾道ミサイル「火星12型」が7月4日と28日と2度にわたって実験されたことで、金正恩は、米国を敵と見なしてきた国々が夢見ていたこと――すなわち、米国本土を核兵器で攻撃すること――を果たす手前まで来ているように見える。

これは、戦略の大転換であり、多くの米国国防機関が長年予期していたことでもある。北朝鮮と米国の当局者のいずれも、北朝鮮のミサイルが大陸間においてどのように正確に飛行するかなどについてしっかりと把握しているかは定かではない。つまり、発射後地球の周りを3分の1周できるということと、目的地を正確に爆撃できるということとは別の話なのである。

こうした疑問に対する答えは、北朝鮮の実験計画が前進するにつれて、明らかになってくるだろう。米国防情報局はすでに、北朝鮮がミサイルに搭載可能な小型の弾頭を完成させたという前提で動いていると伝えられる。

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