「戦犯」前原vs枝野では、民進党に明日はない 細野氏離党と「日本ファースト」で遠心力加速

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保守の前原誠司氏(左)とリベラルの枝野幸男氏だが、その主張はトーンダウン。党の中枢にいた責任者同士の対決に民進党は盛り上がりを欠く(写真:いずれも共同)

「党再生」を掲げる民進党代表選が盛り上がらない。安倍晋三首相による「仕事人内閣」発足で内閣支持率が持ち直す中、挑戦者のはずの民進党の支持率は一桁台に低迷したままで、最新の世論調査では「期待しない」が7割に達している。代表選は前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官が名乗りを上げ、「第3の候補」は浮かんでは消える状況だ。

前原、枝野両氏は民主党政権の誕生から崩壊までの中枢メンバーで、いわば"戦犯"対決ともみえる。次世代の"希望の星"と期待された細野豪志前代表代行が離党を表明し、小池百合子東京都知事の国政進出の足場になるとみられる「日本ファーストの会」旗揚げの動きも重なり、野党第一党の遠心力は加速するばかりだ。

「疑惑隠し」批判で窮地に陥った安倍1強政権は局面打開のための「出直し人事」が一定の効果を上げ、内閣支持率も危険水域の2割台を脱した。ただ、「首相を信用できない」を軸とする不支持率は依然として支持率を上回り、安倍新体制の前途はなお険しい。国民の多くが疑惑解明を望む加計、森友両学園に絡む疑惑や稲田朋美氏を防衛相辞任に追い込んだ南スーダン自衛隊PKO部隊の日報隠蔽問題は「今後の展開次第では致命傷にもなりかねない」(自民長老)という政権の火種だ。

ところが、10日に衆参両院で開催される閉会中審査も自民党の反対で稲田氏ら当事者の参考人招致を回避し、政府与党幹部は「お盆休みに入れば、永田町の空気も変わるはず」(自民幹部)とほおを緩める。

安倍政権の「逃げ切り作戦」を許す民進党

こうした「逃げ切り作戦」を許しているのは民進党のだらしなさだ。7月27日の蓮舫代表の辞任表明で始まった党内混乱は、8月21日告示・9月1日投開票の日程で行われる同党代表選の結果が出るまで続く。

蓮舫代表辞任の背景には、もはや同党の"宿痾(しゅくあ)"ともなった「党内バラバラ」と「足の引っ張り合い」があり、いくら「新体制が決まるまで100%以上の力で政権に挑む」(蓮舫氏)と力んでも「辞める執行部では負け犬の遠吠えにしかならない」(自由党幹部)のは事実。「反省して出直す」という首相の言葉と裏腹な自民党の強権的な国会対策の裏側には、「民進党代表選のタイミングの悪さ」(民進若手)があることは否定しようがない。民進党内で「お盆前の新体制発足」を求める声が相次いだのも当然だ。

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