「戦犯」前原vs枝野では、民進党に明日はない 細野氏離党と「日本ファースト」で遠心力加速

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蓮舫執行部が選択した「本格代表選」の有権者は、(1)党所属衆参国会議員、(2)次期国政選挙公認候補予定者、(3)地方自治体議員党員、(4)一般党員・サポーター、の4種類。各候補者が有権者の種別ごとに定められたポイント数の合計を競うもので、もし候補者が2人なら獲得ポイントの多い候補者が次期代表に就任する仕組みだ。ちなみに、昨年9月15日投開票だった前回代表選も同様の形式で行われ、蓮舫氏が503ポイントを獲得し、対抗馬の前原氏(230ポイント)と玉木雄一郎氏(116ポイント)に大差をつけて代表に就任した。

前回代表選に出馬した蓮舫、前原、玉木3氏は政策的には大きな違いがなく、「次期国政選挙に向けての支持率アップが主目的」(民進幹部)だったため、知名度と人気に優る蓮舫氏が圧勝した。しかし、今回代表選は「崖っぷちで党再生に挑む」(前原氏)ことになるため、いわゆる同党「第2世代の実力者」とされる前原、枝野両氏の「がっぷり四つの勝負」となる見通しだ。

これまでの両氏の政治活動や党内支持基盤をみれば前原氏が保守派、枝野氏がリベラル派の代表選手と位置付けられ、旧民主党時代から続く党内対立の主要因だった「路線論争」に決着をつける場ともなる。両氏のこれまでの言動をみる限り、党の政治路線の最大のポイントとなる「憲法改正」「共産党との共闘」「消費税」「原発」という重要課題についての政治的立場には違いが目立つだけに、代表選での論戦とその結果が、民進党の「行く末」を左右することは間違いない。

前原・枝野両氏が「分裂回避」で主張トーンダウン

ところが、7日と8日に相次いで正式出馬表明した前原、枝野両氏は、「憲法改正」や「原発」など党内対立が際立つ政治課題について「どちらも従来の主張をトーンダウンさせた」(党若手)印象が拭えない。

というのも「旧民主党時代からの党内対立の主要因について、ここで一気に決着をつけようとすれば、結果的には党分裂につながりかねない」(党長老)からだ。「政権選挙となる衆院選を前に党を分裂させれば、自民党に手を貸すことになる」(同)ことは間違いなく、このため前原、枝野両氏も「党の結束を最優先せざるを得ない」(党若手)のが実態とみられる。

かつて「共産党はシロアリ」と選挙での民共共闘を厳しく批判した前原氏も出馬会見では「自民党を倒すため、一致する範囲の中でできることをする」と軌道修正した。枝野氏が憲法改正について「優先順位は高くない」と強調すると、改憲積極派の前原氏も同調する構えだ。

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