日本はヒアリの息の根を本当に止められるか 台湾の専門家が駆除法をアドバイス

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環境省はヒアリに関する知識をまとめたビラを作り、情報提供に努める(出所:7月20日開催「ヒアリ対策関係閣僚会議」資料より抜粋)

今年6月9日、ヒアリが兵庫県尼崎市のコンテナ内で初めて発見された。その後、東京や愛知、大阪、福岡、大分など全国各地で確認が相次ぎ、その地域は10カ所に及ぶ(8月3日現在)。

ヒアリは南米原産で、刺されるとやけどのような激しい痛みをもたらす。7月27日には福岡市で、中国から船で運ばれてきたコンテナから荷物を運搬していた作業員がヒアリに刺された。作業員は軽症だったが、日本国内では初めての人的被害だった。

台湾では2004年に発見

ヒアリは日本侵入以前に、アメリカやニュージーランド、オーストラリア、中国などで確認されている。

アメリカでは1930年代に発見されて以降、1950年代~1980年代にかけて農薬などを使い2度に渡る「ヒアリ根絶キャンペーン」を行ったが、失敗に終わっている。

その他の国・地域でも発見が手遅れだったこともあり、いまだにヒアリの被害に悩まされている。ヒアリの根絶に成功したのは、早期発見・早期駆除が効を奏したニュージーランドのみだ。

日本の隣、台湾もヒアリの侵入を許した地域の1つである。台湾では2004年に台北の近くに位置する桃園市でヒアリの巣が複数発見された。それ以前にも農民の間で、見たことのないアリがいると騒ぎになっていたが、確認に時間がかかってしまった。

そこで2004年11月に「国家紅火蟻防治中心」(National Red Imported Fire Ant Control Center)が設立された。現場での調査や、パトロール隊の管理・訓練などを行う。また講演会や展示、出版物などを通じ啓蒙活動にも取り組んでいる。

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