上場企業でも資本金1円!減資が増えるワケ 堂々と「節税目的」を公言する会社も現れた

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レッド・プラネット・ジャパンが今年2月に開示した資料には、資本金を1円とすることや、「毎年の外形標準課税負担額が 3,500 万円以上に及んでおり、株主価値を棄損させている大きな要因になっております」という衝撃的な記載がある(撮影:梅谷秀司)

「これは……」。記者にリリースを見せられた瞬間、総務省の自治税務局都道府県税課の担当官は絶句した。

そこには「外形標準課税(の負担)が株主価値を棄損させている。減資により負担軽減などのメリットを享受」できる、と書かれていたのだ(一部略)。

税務メリットのために減資?

このリリースを出したのは、ジャスダック上場でホテルを運営するレッド・プラネット・ジャパン。シンガポールに本社を置くレッド・プラネット・ホテルズの日本法人だ。

レッド・プラネットは3月29日に開催した定時株主総会で減資を付議。繰越損失を塡補し、さらに上場企業としては前代未聞の資本金1円を可決させた。

同じ例はほかにもある。創薬ベンチャーのオンコセラピー・サイエンスは欠損塡補も行わず、資本金のみを0.5億円まで縮小。減資の理由を「税制上のメリットを享受」とし、欠損塡補をしない理由は「勘定科目間の振り替えにすぎない処置に意味はない」(経営管理部)と説明する。

従来、配当原資ともなる利益剰余金の赤字を塡補するため、減資を行う企業は多々あった。だが、レッド・プラネットやオンコセラピーのように“節税目的”と、はっきり打ち出す減資は極めて異例だ。

利益とは関係なく、資本金や従業員数、事業所の大きさなどによって決まるのが地方税の外形標準課税だ。赤字企業でも、地方自治体の道路整備やごみ収集といった行政サービスは応益負担すべきとの考えから、2004年に導入された。

税務上、資本金1億円以下を中小企業、1億円超を大企業と分類。中小企業は外形標準課税は適用されないほか、国税である法人税、同じ地方税である法人事業税などの税率が低くなるなどメリットが大きい。

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