EUがグーグルに制裁金3000億円を下した理由

枢要を牛耳る米国ネット企業に危機感を抱く

アメリカ・シリコンバレーのグーグル本社(撮影:中川 雅博)

制裁金3000億円――。

EU(欧州連合)の執行機関にあたる欧州委員会(以下、EC)が6月27日、日本の独占禁止法に相当するEU競争法に違反したとして、グーグルに24億2000万ユーロの制裁金を課したと報じられた。

同社のページが優先的に表示されていた

グーグルが検索結果を表示させる際、同社が提供する「グーグルショッピング」のページが優先的に表示されるなど、競合他社が運営するショッピングサイトよりも有利になるようにし、正当な競争を妨げているというのが、その理由だ。

ECによるグーグルに対する調査が始まったのは2010年のこと。以来、たびたび両者間で話し合いが持たれたものの、毎回物別れに終わっていた。実際、「ECがグーグルに対して処分を下すらしい」という話は、それこそ忘れた頃にささやかれては消えるような状態が続いていた。つまり、今回は、ECがとうとう「行動に移した」格好になる。

ECが、長期間にわたる密な調査を経て、グーグルに対して巨額の制裁金を課したのは、単に米国企業がEU経済圏内において、その支配的な立場を利用したからという理由だけではない。この背景には、彼らの悲願でもある「デジタル単一市場」の構築がある。

「デジタル単一市場戦略(A Digital Single Market Strategy)」と題した新しい構想をECが発表したのが約2年前。これは、EU加盟国間のデジタル市場を統合し、国同士で異なる法律や制度、環境等を整備、統一したルールを設け、EU経済圏全体としてデジタル経済を成長させることを目的としている。この戦略の柱となるデジタル単一市場の構築は、現在欧州委員会にとって、目下の最優先課題として位置づけられている。

このデジタル単一市場の構築にあたって、大小さまざまな課題が存在しているのは、想像に難くない。中でも非常に大きいのが、EU加盟国間のネットワークや制度における差異の大きさだ。具体的には事業者側(サービス提供側)と消費者間の地理的、制度的な要因によって、そもそもサービスが利用できなくなっている(あるいは事業者側があえて利用させないようにしている)という「ジオブロッキング」等が挙げられる。

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