スズキ会長が株主総会で拍手喝采だった理由 インドでの工場増設も新たに発表

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スズキの株主総会。今回から鈴木俊宏社長(雛壇前列右から2人目)が議長を務めた(記者撮影)

「(俊宏社長は)若い議長なので私同様、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」

スズキが6月29日に浜松市内のホテルで開いた株主総会。一番盛り上がったのは、最後に鈴木修会長が挨拶したときだった。総会の議長を長年務めてきた修会長から今回初めてバトンを受けた息子の俊宏社長。修会長は総会終盤まで口を出さずに社長を見守っていたが、最後に胸の内を話し、株主に頭を下げた。

スズキをめぐっては2015年6月に修氏が社長を退き、俊宏氏が社長兼COO(最高執行責任者)に就任。2016年5月に発覚した燃費測定の不正問題にからみ、同年6月には修会長からCEO(最高経営責任者)の座も譲り受け、今回の総会が初めて議長として迎える“晴れの舞台”だった。

燃費不正問題の謝罪からスタート

だが、総会は燃費不正問題に対して、謝罪からスタートせざるを得なかった。俊宏社長は「改めてお詫びを申し上げる。その後の国土交通省の試験で、カタログ値に問題のなかったことがわかった。再発防止については速やかかつ着実に実施した。従業員一同、コンプライアンスの徹底に取り組んでいる」と話した。

具体的な事業方針の説明に移ると、一転して攻めの姿勢に変わった。特にスズキの世界販売台数の半分を占めるインドでは、北西部のグジャラート工場に第3工場を増設し、生産能力を増強する方針を新たに表明した。

グジャラートは今年はじめに第1工場が稼働し、さらに2019年はじめには第2工場、エンジン・トランスミッション工場も稼働を予定している。インドではグジャラート以外に2つの工場も持っており、2020年代前半にはインド全体で現在より3割近く多い200万台以上の生産能力を有することになりそうだ。

俊宏社長は「インドは過去最高(の販売台数)で今後も需要拡大が見込まれており、販売網も拡大していく」と鼻息は荒い。

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