500円ピザ外食チェーンの破産は必然だった 経営は「限界利益」と「固定費」で説明できる
自動車用エアバッグ大手のタカタが6月26日、東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。負債総額は自動車メーカーの立て替えも合わせて約1兆7000億円といわれており、製造業としては戦後最大の経営破綻となりました。
これとは全然規模が違いますが、最近の企業倒産で筆者が着目したのが、4月28日に破産手続き開始が報じられた遠藤商事・Holdings.(以下、遠藤商事)です。
帝国データバンクの記事によると、遠藤商事はピザ店「NAPOLI(ナポリ)」「Napoli’S(ナポリス)」などを全国展開しており、2016年9月時点で直営27店、フランチャイズ47店の計74店舗を運営、年間売上高は25億円余りを計上していました。イタリアのプロサッカーチームに在籍していたという代表者の経歴や、「500円で本格的なピザが食べられる店」という打ち出しが奏功し、メディア露出も多かったようですが、負債総額約13億円を抱えて経営破綻しました。
中には、本業が好調でも資金繰りに失敗して起こる「黒字倒産」というケースもありますが、一般的にいってなぜ会社が潰れるかといえば、「儲かっていない」からです。なぜ儲からないのかという理由については、マーケティング面、人事面、プロモーション面などいろいろな角度から考えられます。
しかし、筆者のように計数面から企業経営をとらえるコンサルタントに言わせれば、理由はたったひとつです。「限界利益で固定費を賄えないから」儲からないのです。
限界利益や固定費といわれても、多くの読者はピンと来ないかもしれませんが、これからの経営を考えるうえで、これら管理会計の知識はますます重要になると思います。「管理会計」などというと難しそうに聞こえますが、その中身は中学生レベルの数学で理解できる程度のものです。
「限界利益」って何?
まず、管理会計を説明するうえで欠かせない、「変動費」「固定費」そして「限界利益」という用語について簡単に説明します。
変動費とは、売上高の増減に合わせて増減する費用のことです。製造業では材料費、卸小売業では仕入れ費などが典型的です。一方固定費とは、売上高の増減に関係なく一定額かかる費用のことです。家賃や設備の減価償却費などが代表的です。
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