大盛況の「京急ビール電車」で起きた緊急事態 キリンとのコラボ、人気高まり運行本数増加

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運行日の6月10日の昼、運よくチケットをゲットした参加者たちが出発駅である京急川崎駅にやってきた。「キリン一番搾り」ののぼり旗があちこちに飾られたホーム上に4両編成の列車が停車している。車両前面には電車とビールジョッキを合体させたようなデザインのヘッドマークが取り付けられている。

列車は大師線の小島新田駅との間を2時間かけて2往復する。つまりビアタイムは2時間だ。「昨年の参加費は3000円でしたが今回は5000円。高い分だけ気合いが入ります」と、ある男性参加者はこれからの旅程に胸を躍らせていた。

1号車は関係者控え室、4号車はビール準備車両となっている。2両目と3両目に参加者が乗車する。その通路上に設置されたテーブルには三崎マグロの珍味などのおつまみや、豚角煮、シューマイ、煮卵といったビールに合うおかずがたっぷり入った弁当が並べられている。昨年はシウマイでおなじみ崎陽軒の弁当だったが、今年は京急ストア製だ。

肝心のビールは、キリンビール横浜工場限定醸造の「一番搾り横浜づくり」が樽生ビールで提供される。普段は缶でしか飲めないビールを工場直送の出来たての状態で飲めるのはレアな体験だ。

電車の揺れがビール飲みには心地よい

ビールジョッキと電車が合体したデザインのヘッドマーク(撮影:尾形文繁)

列車は定刻の12時29分に出発。線路沿いにはカメラを構えた鉄道ファンが列を成す。ビール電車の特別なヘッドマークは”撮り鉄”には格好の被写体なのだ。

一方の車内では、外とは打って変わって鉄道よりもお酒が好きという人が多いようだ。

神奈川県内の企業で働く男女4人組は「ビールが大好きでキリンビールの横浜工場にも行ったことがある。揺れる電車内でのビールをぜひ飲みたくて申し込んだ」と興奮を隠さない。大師線はあまり利用したことがないため、「こんなに揺れるとは思いませんでした。でもこの揺れがビールを飲むには心地よい」。

別の参加者も「通勤で利用している京急の電車で堂々とビールが飲めるなんて夢のようだ」と語っていた。

車内にはキリンビールの神崎夕紀横浜工場長の姿もあった。神戸でも工場長を務めた同社初の女性工場長で、品質保証や醸造の大ベテランだが、ビール電車は初体験。「こんなに盛り上がるとは思いませんでした」と目を丸くしていた。

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