鉄道写真家、独立後の「1枚」はこう変わった

「宮仕え」時代とは違うサバイバル仕事術

写真1 新緑と赤いE6系。文字を載せやすく商業ベースで考えるとぜひ撮っておきたい1枚(筆者撮影)

2017年1月、僕は大学卒業以来勤めていた写真事務所を辞め、フリーランスの鉄道写真家として活動をスタートした。写真を撮影するという行為自体は前職と変わりはない。が、1枚1枚の写真の重みがこれまでとは比べものにならないくらい大きくなり、少し恐怖にも感じた。

一方で、自分がじっくりと撮影したい光景を見つけると、自分の判断だけで時間をかけて撮影することもできるようになり、この自由さと1枚の写真を「掘り下げる作業」の楽しさが、最近では独立直後の恐怖をはるかに上回るようになった。

クライアントの要望が多そうな写真は撮っておきたい

新緑の美しい5月、僕は秋田県と岩手県の県境である仙岩峠に向かった。ここは秋田新幹線「こまち」が峠越えをする風景を狙える撮影地だ。東京―盛岡間の東北新幹線区間では日本最速の最高時速320キロメートルで走行するスタイリッシュな新幹線車両E6系も、盛岡―秋田間の在来線区間では最高時速は130キロメートルにとどまる。とりわけこの仙岩峠の区間はカーブが多く、東北新幹線での疾走とは逆に、ゆったりとした速度で峠を走り抜けてゆく。

有名撮影地ということもあり、今まで幾度となく訪れているが、独立したということもあり再訪した。狙うは新緑と赤いE6系「こまち」の1枚。日本全国でさまざまなデザインの車両が走っているが、E6系は個人的にも好きな車両の1つだ。特に緑と赤いボディーの対比は何度撮影しても飽きがこない。

今回狙ったカットはE6系の特徴である長いノーズが際立つサイドビューと新緑。まずは冒頭のようなカット(写真1)を撮影した。画面内に適度な大きさでE6系が写し止まっている。ある程度車体が大きく、かつ、風景を入れ込んだカットは季節感もあり文字なども載せやすいため、さまざまな用途で使用しやすく、クライアントからの要望も多いので商業ベースで考えると1枚は手元に持っておきたいカットだ。

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