「退位した天皇」は歴史上、何をしていたのか

「5パターンある」のを知っていますか?

歴代の天皇は、退位した後どうしていたのでしょうか?(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
天皇陛下の「お気持ち」の表明から10カ月。「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が公布され、いよいよ陛下の「生前退位」が現実になる。
明治以降の天皇制では、天皇は終身制だ。晩年の昭和天皇が、病の中で崩御の日まで退位することなく天皇であったことは、記憶されている方も多いことだろう。
しかし歴史をひもとくと、生前に退位した天皇は少なくない。今の天皇陛下は第125代に数えられるが、奈良時代以降、江戸時代までに約60人の天皇が生前に退位しているのだ。天皇が終身制となったのは、長い天皇制の歴史のなかでは、ごく最近になってからのことなのである。
では、それ以前の歴代の天皇は、退位したあと、どうしていたのか。
歴史を知ることは、現代を考えるうえで大いに参考になる。昨年リニューアル復刊されて累計20万部のベストセラーになっている『いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編』『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編』は、歴史を時代の流れとして理解するのに最高の参考書だ。
本記事では、評論家の高澤秀次氏が、日本史をさかのぼって「退位した天皇」について探ってみる。

退位した天皇はどうなった?

退位した天皇は「上皇」と呼ばれます。「上皇」はそもそもは「太上天皇(だいじょうてんのう)」の略称でした。「太上」には、辞書によれば“最もすぐれたもの”という意味があります。

今回の天皇陛下の退位では、「天皇より上」という意味合いを避けるために、略称ではなく「上皇」を正式な呼称としています。

「上皇」と聞いてまず思い浮かぶものといえば、教科書でも習った「院政」でしょう。

【退位後の天皇・その1】「院政」を始めて、権力をにぎった
『いっきに学び直す日本史』は「教養編」「実用編」合わせて20万部のベストセラーになっている(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「院政」を行い、大きな権力をにぎった「白河上皇」「後白河上皇」の名は、耳にしたことのある人も多いはずです。

「白河上皇」は実質的な院政を開始した上皇で、後世「治天の君」と呼称されるほどの絶対権力を保持した人物です。

「院政」は、それまでは摂政や関白の地位についた藤原氏がもっていた政治の実権を、天皇家に取り戻したという意味で画期的でした。

しかし同時に、天皇家内に「天皇」と「上皇」という二重の権力状態が生まれることにもなりました。二重権力の状態は、平安時代末期には「保元の乱」などの争いが起きる原因にもなりました。

こうしたことが、「天皇の退位を認めない」という決まりに影響しているとされています。

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