キャプテン翼が「Jリーグ」の危機を救った日 村井チェアマンが語る、Jリーグの今後(上)

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今季のJ1の観客動員数は好調な滑り出しとなった。このペースを維持できるか(写真:Jリーグ)
開始から25年目、サッカーJリーグが大きな節目を迎えている。近年のJリーグは試合中継の放映権料やスポンサー収入が伸び悩み、資金難に直面していた。だが昨年、世界中でスポーツメディアを展開する英パフォーム・グループと10年間、合計2100億円の放映権契約を締結。衛星放送のスカパーJSATが試合を中継してきたが、パフォームのスポーツ動画配信サービス「DAZN」(ダ・ゾーン)に変わった。
これを機にリーグはさまざまな改革に打って出た。すでに成果も出ている。今季のJ1の観客動員数は前年同期比で約10%伸びているのだ。今後、どのようにJリーグを盛り上げ、観客を増やし、競技レベルを向上させるのか。Jリーグを率いる村井満チェアマンを直撃した。

 

――これまでのJリーグはJ2、J3など、各地域に裾野を広げることに注力してきた。巨額の放映権収入を得たことで、何が変わるのか?

Jリーグの理念の中心にあるのは「豊かなスポーツ文化の振興および国民の心身の健全な発達への寄与」というビジョンだ。僕もいろいろな企業を見てきたが、Jリーグはそうとう、先見の明がある組織だった。

たとえば創設時の10クラブだけだったらきっとリーグは繁栄しただろう。ただ、それでは「国民の」という理念に届かない。各地域に広げることが前提で、だからこそチームに地域の名前はつくが、企業の名前はつけていない。各都道府県にクラブがあって、さまざまな活動をしていくことがマストだった。

トップがつねに世界と戦えるレベルにする

木の幹が太くなって枝を高く伸ばすためには、地中に広く深く根を張ることが必要だ。そこでこの25年間、Jリーグは裾野を広げてきた。一時期はリーグの収益をクラブに配分する「配分金」のうち、J1(1部リーグ)の分を減らしてJ2を育てたほどだ。J2への配分金を「1」としたときにJ1が「2.5」だったのを、1対2ぐらいに減らした時期がある。その結果、世界にも類を見ないくらい面白いJ2ができた。

村井チェアマンは2014年に就任して以降、さまざまな改革を打ち出してきた(撮影:梅谷秀司)

現在、J2の22クラブのうち半分はJ1を経験したクラブだ。名古屋や松本や千葉、京都もいる。彼らはJ1に上がることを昇格ではなく復帰と呼ぶ。「絶対J1に戻る」という意識だ。高みを知っているので非常に競争的だ。

一定の財政的な基盤が整ったらJ1に集中投資するということでコンセンサスを得ていたので、(放映権収入が大幅に増える)今シーズンから1対2.5に戻した。優勝賞金も大幅に上げた。

これからはトップクラブが世界に互して戦うことになる。昨年、クラブワールドカップでレアル・マドリードと鹿島アントラーズが戦ったが、あのような試合をもっとたくさんできるようにするのが、次の25年のミッションだ。

いつも優勝争いのチームが替わっていく競争的なリーグであることが大事だが、その覇者にはコンスタントに世界と戦って優位であり続けることが求められる。高いレベルでいかに拮抗するかということだ。

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