コミー前FBI長官、トランプ大統領に痛打

「弾劾」にはまだ早いが、政策運営に足かせ

6月8日、上院の公聴会でトランプ大統領から圧力を受けたと語ったコミー前FBI長官。トランプ大統領の政策運営には足かせがはめられる格好に(写真:AP/アフロ)

5月9日にトランプ大統領から即刻解任という異例の通告を受けたジェームズ・コミー前FBI(連邦捜査局)長官は猛烈な反撃を始めた。その反撃はトランプ大統領の想像を超えるものだった。

まず、コミー前長官はトランプ大統領と二人だけで行った会談と電話の内容を記したメモの存在を明らかにした。この「コミー・メモ」と呼ばれる文章をスクープしたのは『ニューヨーク・タイムズ』だが、これがコミー長官の反撃の狼煙(のろし)であった。後にコミー前長官は自ら友人を通じて「コミー・メモ」を同紙の記者に手渡したことを明らかにしている。

コミー前長官は、メモを作成した理由として、二人だけの会話であり、会話の内容を裏づけるものはないため、会話の内容をメモにして残しておく必要を感じたとしている。FBI長官の任期は10年である。トランプ大統領はコミー氏に何度も留任を約束する発言をする一方で、「他にもFBI長官になりたがっている人物は多い」と、暗にプレッシャーをかける発言を繰り返していた。だからコミー氏は自分を守るためにメモを作成しておこうと考えたのだろう。

さらにコミー前長官の反撃は続く。6月8日、上院情報委員会にA4で7ページに及ぶ「陳述書」を提出した。その陳述書には、1月6日から4月11日までのブリーフィング、夕食会、会談と電話での話の内容が詳細に記述されていた。そして攻撃の仕上げは、6月9日に行われた上院情報委員会の公聴会での証言である。

録音テープは明るみに出されるのか

そうした一連の情報で、ロシアが米国大統領選挙に介入したかどうかのFBIによる捜査に関連して、マイケル・フリン前安全保障担当補佐官の調査を中止することと、自らが捜査の対象になっているかどうかを明らかにすることとを、トランプ大統領がコミー前長官に執拗に要求した様子を明らかにしたのである。さらにトランプ大統領がコミー長官に"個人的な忠誠"を求めた様子も生々しく表現されていた。「私には忠誠が必要なのだ」と語るトランプ大統領の姿は傲慢で自信に溢れたものというより、FBIの捜査に脅える小心者の姿であった。

コミー前長官は、もうひとつ爆弾発言を行った。それはトランプ大統領がツイートでほのめかした録音テープの存在について、「テープがあればいいと思う。むしろ公開すべきだ」と語ったことだ。トランプ大統領がホワイトハウスで密かに録音を行なっていたとの疑惑を、スパイサー報道官は繰り返し否定したが、その後のトランプ大統領の発言を見る限り、録音されていた可能性は高い。議会は、ホワイトハウスに対して録音の提出を求めている。

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