会社幹部はお坊さん、兼業僧侶の密かな野望 朝6時のお勤めで疲れた心と体をリセット
黒いジャケットに黒いTシャツを着こなし、Mac bookを前に海外スタッフと英語でリモート会議。そして寝食を忘れてWEBデザインに打ち込む――。どこからどう見てもIT系ベンチャーの青年だ。
ただ、その低くて落ち着いた話し方はどこかで聞き覚えがある。実は彼、お坊さんでもあるのだ。
僧侶とITベンチャーの2足のわらじ
日蓮宗寺院、小伝馬町身延別院(東京・中央区)の僧侶、藤井教瑞(きょうずい)さんは、早稲田大学を卒業後、日蓮宗の総本山である身延山久遠寺で修行をし、実家のお寺に入った。
早朝のお勤めから始まるお坊さんとしての日々は十分ハードだが、大学時代から関心を持ち続けてきた英語を使って、IT系ビジネスとの2足のわらじを履いている。
もっとも、お坊さんが兼業をするのは昔から珍しいことではない。なかでもたとえば学校の先生はお坊さんの兼業として比較的多い職業だ。他にも医者や作家、会社員と兼業しているというお坊さんも少なくない。宗派によっては必ずしも剃髪(髪の毛を剃ること)する必要はないので、袈裟を着ていなければ、お坊さんだと気づかないこともある。でも話をしてみると、仏教者としてもマインドが見え隠れする。それが兼業僧侶だ。
そして最近では、IT系ベンチャーで働くお坊さんも増えてきた。教瑞さんもその1人だ。彼が今手がけているのは、英語教育サイトの立ち上げ。「コミックス」というコンテンツ発信IT系企業の最高技術責任者として、正社員で働いている。なぜ兼業しようと思ったのか。
「学生時代の友人たちは皆就職をして、社会に出ていきました。私も約1年の修行を終え、お坊さんとして働き始めましたが、社会にもっと関わり、広い視野を持つことが、仏教徒としても成長できるのではないかと思ったのがきっかけです」(教瑞さん)
英語をビジネスの軸にしていこうと思ったきっかけは、高校時代の恩師に英語の素晴らしさと、社会的役割を学んだことにある。様々なアプローチ方法を考えて、英語を社会に役立てたいというのが、現在の彼のテーマなのだ。
ただ、気になるのはその両立の仕方。どのようにお寺の仕事とビジネスマンとしての時間をやりくりしているのだろうか。1日のタイムスケジュールを聞いてみた。
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