死に至る「恐怖の肺炎」引き起こす意外な要因 誤嚥性肺炎のリスクは注意次第で軽減できる

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重症化してから気づくことも。甘く見てはいけません(写真:freeangle / PIXTA)

日本人の死因で最も多いのは「がん」(悪性新生物)、2位は「心疾患」、3位は「脳血管疾患」です。では4位をご存じですか?

答えは「肺炎」です(厚生労働省調べ)。意外と知らない人が多いかもしれません。その肺炎が意外な原因によってもたらされることがあります。筆者は歯科医師としての知見や経験を基に、歯や口周りの情報を「ムシバラボ」というサイトで発信していますが、その中で紹介していることのひとつが、細菌が肺に誤って流れ込んでしまうために起こる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」の恐怖です。

70歳以上の高齢者で肺炎にかかる人の7割程度がこの誤嚥性肺炎だともいわれています。90歳以上だと95%程度。高齢者は特に注意すべき疾患だといえるでしょう。肺炎が重症化すると死に至ることもありますので、特に高齢者にとって誤嚥性肺炎の重症化を防ぐことは、健康に長生きするためにも重要なのです。

誤嚥性肺炎の重症化を防ぐというと、なんだかとても難しいことのように思えるかもしれません。ですが、「口腔ケアをしっかりとする」といった身近なことで誤嚥性肺炎の重症化の予防ができるのです。

誤嚥性肺炎は、通常ならば食道に入り込む食べ物や飲み物、唾液等が気道内に入り込み、気管支、肺へと進んでしまうのが原因です。食べ物や飲み物、唾液等に含まれている細菌が肺内で繁殖し、肺炎を引き起こします。

誤嚥が起こる理由

高齢になり飲み込む力が弱くなっていると、知らず知らずに誤嚥を起こすようになります。また、脳血管障害や神経系の障害があると飲み込む力が弱くなり、誤嚥を引き起こすこともあります。

飲み込む力が弱くなっていなくても誤嚥が起こることがあります。たとえば、就寝時などの気づきにくいときに吐いてしまった場合、胃液が混ざった吐しゃ物が肺へと逆流して誤嚥をしてしまうこともあるでしょう。

飲み込む力が弱くなっている高齢者は誤嚥を起こしやすくなります。

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