「競技人口減」で先が見えない日本野球の現在

野球経験者の減少でプロ野球の土台も揺らぐ

埼玉県の4球団による子ども向けの競技普及プロジェクト「PLAY-BALL!埼玉」の発表会見が4月20日に行われた。ボールを手にする埼玉西武ライオンズの炭谷銀仁朗(左上)、武蔵ヒートベアーズの関口寛己(右上)、埼玉アストライアの川端友紀(左下)、戸田中央総合病院メディクスの田中江理奈(右下)の4選手(筆者撮影)

「野球をやりたくても、できない環境になっていることに驚いた」

こう言ったのは、プロ野球・埼玉西武ライオンズの炭谷銀仁朗捕手。4月20日、埼玉県所沢市の球団本社で開かれた会見でのことだ。 

この日、ライオンズのほか、埼玉県を本拠地にする女子プロ野球「埼玉アストライア」、女子ソフトボール「戸田中央総合病院メディクス」、プロ野球独立リーグ「武蔵ヒートベアーズ」の各球団が手を組んで、子どもに野球普及活動を行うプロジェクト「PLAY-BALL!埼玉」をスタートさせることが発表されたのだ。

ライオンズなど埼玉4球団が手を組んだワケ

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埼玉県にゆかりのある4球団が、リーグや競技の壁を越えて手を組んだ――。それだけでも確かに話題性のある話ではあるが、このニュースの眼目は実はそこではない。

西武ライオンズでは、数年前から野球競技人口の減少を深刻に受け止め、すそ野拡大のため、幼児向けの「野球遊び」の普及活動を開始していた。ユニフォームを着てグラブを持つ以前の幼児に、野球の楽しさを訴求しようと考えたのだ。

しかしなかなか活動は広まらない。少年少女の野球競技人口は減少する一方だ。事態の深刻さを痛感して、埼玉県所在の他の3球団にも声をかけた、というのが実情だった。会見後に話を聞いた西武球団の井上純一事業部長は「少年野球人口の減少は、少子化のペースをはるかに上回っていて、深刻だ」と指摘。「野球普及担当」の球団職員は「ユニフォームやグローブをすでに持っている子ではなく、野球を知らない子供に野球の楽しさを少しでも使えることができれば」と苦しい現状を変える意気込みを述べた。

埼玉県には浦和レッズ、大宮アルディージャというJリーグの強豪クラブが2つ並び立ち、両チームが戦う「さいたまダービー」は多くの観客を集める。サッカー王国である埼玉県で、野球の牙城がますます脅かされているという危機感もあり、野球の普及活動が必要になったという事情があるのだ。

ただ、これは埼玉県に限った問題ではない。野球の競技人口減は、日本各地で深刻になっている。

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