広告代理店から介護に転職した男性の苦悩

正社員だがボーナスも交通費もナシ

平日の夕方、東京都内のあるターミナル駅周辺。スーツ姿の会社員の人波をかき分け、ポロシャツ、ジャンパー姿のノリオさんが現れた(筆者撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。今回は中堅広告代理店をリストラされ、その後、介護の世界へと入ったノリオさん(64歳)の苦悩に迫る。

 

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典型的な「求人票詐欺」である。

東京都内の高齢者向けデイサービスでケアマネジャーとして働くノリオさん(64歳、仮名)が見せてくれたのは、施設を運営する有限会社がハローワークに掲示していた求人票。

「就業時間」の欄に「~17:00」とあるが、採用後に捺印を求められた雇用契約書には「~17:30」と記されていたという。また、「休日」は「土日祝他」とあるが、実際は土日だけ。「年末年始休暇」も「~1月4日」とあるが、休めるのは1月3日まで。「時間外なし」とあるが、残業は毎月20時間以上で、残業代は一部しか支払われない。

もはや「真実」が書かれている箇所はあるのかと突っ込みたくなる代物だが、「うそ」はまだある。

全社員が最低水準の月収19万円

「月平均労働日数」は「20日」とあるが、実際は「22日」。月平均労働日数は、時間外や休日労働に対する割増賃金を算出する際に必要な1時間当たりの賃金の基となる。労働日数が多いほど労働時間も多くなり、所定賃金から割り出される1時間当たりの賃金は安くなる。つまり、月平均労働日数が多いほど割増賃金は低くなる仕組みなのだ。また、「賃金」は「19万~30万円」とあるが、ノリオさんが知るかぎり、すべての社員が最低水準の19万円にとどまっているという。

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