北海道「JR特急vs高速バス」の仁義なき戦い 自治体は「鉄道一辺倒」ではない
「う―ん、JRがなくなったら困るかどうかと聞かれたら困るんだけど、でも実際には滅多に乗ることはないよね……」。北海道各地で取材をしていると、JR沿線の人たちからは必ずと言っていいほどこんな声を聞かされる。
「北海道の人は200kmでも300kmでも自分で運転していくのが当たり前。本数も少ないしお金もかかるJRなんてそうそう乗らないよ」。こんな具合だ。
ある自治体の関係者は「鉄道がなくなると困るかどうかを住民に聞いても無意味」と断じる。「鉄道があるのかないのかで言えば、あったほうがいいに決まっている。それに、自治体の首長にしても選挙があるわけだから『鉄道をなくしてもいいです』とは簡単には言えない。そういう意味では、誰も北海道の鉄道について本質を考えようとしていないことが、いちばんの問題なんですよ」。
公共交通ではバスの存在が大きい
では、本質とは何なのか。もちろん、JR北海道が経営危機に追い込まれるに至った理由・背景は1つではない。ただ、道内の交通という点で見れば大きなライバルの存在があったことは間違いないだろう。
道東のある自治体関係者は言う。「自家用車もそうですが、公共交通機関という点ではバスの存在が大きい。他の自治体も同じだと思いますが、路線バスや都市間バスには毎年多額の援助を続けており、それで運行本数や運賃面など利便性を維持している状況。ですから、JRを使ってくれと住民にPRするのも難しいんですよ」。
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